あえて実現の難しい場所に非日常空間を作る、レッドブルの大会に注目してしまう理由

特別な空間がスポーツの魅力を最大化する

ラグビーW杯、東京オリンピック・パラリンピックが近づくにつれ、スポーツへの興味と投資が拡張している。最近では東京大会から新競技に仲間入りしたアーバンスポーツへの注目度もかなり高い。先日ブレイクダンスが2024年のパリ・オリンピックの候補種目になったと報道されたが、正直まさかここまでいくとはという驚きと、長年応援してきた想いからの嬉しさで、我々の周りもかなりざわついている。

実際にこの競技をリードしているメンバーからすると、あまりの展開にメディアへの対応のみならず、歴史ある協会との連携や今後の進め方などがある種のカオスな状況になっているようだ。しかしながら、折角訪れたチャンス。この波にうまく乗りシーン自体の活性化につなげることが大事なので、できる限りサポートしたいとも思っている。

2011年6月、当時のF1優勝チームであるレッドブル・レーシングが、横浜の元町ショッピングストリートでF1マシンを走行させるイベントが実現した。F1が日本の公道を走るのは国内初。東日本大震災で被害を受けた日本にエナジーを届けるために企画されたイベントで、協同組合元町SS会の多大なる協力によって実現することができた。あまり宣伝ができなかったこともあり観客がどれだけ集まるのかを心配していたが、商店街は歩けないほどの人で溢れかえり、駅を一旦封鎖するほど大いに盛り上がった。

元町ショッピングストリートを走行するF1カーの様子(2011年6月5日)
写真:Red Bull Content Pool

あれから約8年、2019年3月遂にF1マシンによる初の東京都内での公道デモ走行が実現した。これはF1開幕に伴い、2019年シーズンからホンダのパワーユニットを搭載してレースを戦うレッドブル・ホンダチームのプロモーションも兼ねてだと思われる。ホンダ本社から近い明治神宮外苑いちょう並木の公道をクローズしてコースが作られた。

「Red Bull Showrun Tokyo」にて明治神宮外苑いちょう並木を走行するF1カー(2019年3月9日)
写真:Red Bull Content Pool

どちらのイベントにも1万人以上の観客が詰めかけ、F1マシンの威力を生に体感し、ドライバーやチームと触れあい、その時その場にいた人だけが味わえるある種の優越感を抱くことができる空間が実現した。実際のレースを見たいと思った人や、F1というスポーツへの興味関心を寄せた人も少なくないだろう。

次ページ 「非日常の空間で観客を競技の虜にする」へ続く

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長田新子(一般社団法人渋谷未来デザイン 事務局次長兼プロジェクトデザイナー)
長田新子(一般社団法人渋谷未来デザイン 事務局次長兼プロジェクトデザイナー)

AT&T、ノキアにて、情報通信及び企業システム・サービスの営業、マーケティング及び広報責任者を経て、2007年にレッドブル・ジャパン入社。最初の3年間をコミュニケーション統括、2010年から7年半をマーケティング本部長として、日本におけるエナジードリンクのカテゴリー確立及びレッドブルブランドと製品を日本市場で浸透させるべく従事し、その後独立。現在は2018年4月に設立された一般社団法人渋谷未来デザインの事務局次長兼プロジェクトデザイナー。

長田新子(一般社団法人渋谷未来デザイン 事務局次長兼プロジェクトデザイナー)

AT&T、ノキアにて、情報通信及び企業システム・サービスの営業、マーケティング及び広報責任者を経て、2007年にレッドブル・ジャパン入社。最初の3年間をコミュニケーション統括、2010年から7年半をマーケティング本部長として、日本におけるエナジードリンクのカテゴリー確立及びレッドブルブランドと製品を日本市場で浸透させるべく従事し、その後独立。現在は2018年4月に設立された一般社団法人渋谷未来デザインの事務局次長兼プロジェクトデザイナー。

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