「人の気持ち」は、測定できるのか? — 感情のデジタル化を考える

「人の気持ちをシミュレートする」AIによる未来

とはいうものの、最近のAIによるアプローチは目を見張るものがあります。ニューラルネットワークのような感情プロセスのアルゴリズムを、そのターゲット視聴者のプロフィールや視聴傾向をもとにして生成することで、人間で感情の反応を試すのではなく、いわゆる感情の反応をシミュレートするAIをGAN(敵対的生成ネットワーク)として人工的に生み出すことも可能になるでしょう。

そのAIが機械学習することによって、より優れた感情反応を引き出すクリエイティブを人間なし(教師ナシ)で生み出すこともできるかもしれません。

そしてその時のリソースとなるのは、まず対象における心理的状況や文脈のために、人間のパーソナリティのBig5と呼ばれる5つの心理的な対概念の組み合わせによって、どのような感情的動機がもっとも受け入れやすいかを判断し、それを引っ張るためのクリエイティブ要素(テクスト、画像、動画など)をメタファー分析によって、人々が日常的に見ているソーシャルメディアやデジタルメディアの中からセグメントを導き出し、その組み合わせを無数につくり出すことによって、GANによって精度を上げるということが可能になるかもしれません。

そのような未来は『AI for Marketing and Product Innovation』という本ですでに予言されており、マーケティング組織には、コンピューターサイエンティスト、アルゴリズム開発者に加えて、言語認知科学者が必要になると提言しています。言語認知科学者は、人間がどのような要素から同じような感情反応を起こすかをメタファー(同じ感情を引き出す比喩的なクリエイティブ要素)から、分析する役割を担うというわけです。

同じ感情を引き出すクリエイティブとは感情反応の視点からすれば、この比喩的な構造を明らかにすることで、一回きりのヒット要素ではなく、持続可能なものになるということです。

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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