データがつなげるカスタマージャーニー Vol.4
ロイヤルカスタマーの育成に有効、「顧客360°分析」
2019年2月27日、東京港区北青山のオラクル青山センターで「CX Management Seminar 2019」が開催され、顧客接点に課題意識を持つ企業の経営者やマーケティング担当者、IT担当者などのビジネスパーソンが集まった。
テクノロジーの進化によって、顧客の購買行動は多様化し、変化している。企業にとっても店頭にとどまらない販売チャネルの創出につながり、アプリや商品、ソーシャルメディアなど、企業と顧客の接点も多様化し、変化している。多くの企業は顧客のデータを収集し、最適な顧客体験の提供を目指し、さまざまな活動を行っている。
また近年は顔の見えない不特定多数の顧客から、よりパーソナルな「個客」に寄り添い、この「個客」を中心にしたマーケティングが求められている。今回のセミナーでは、これまでの顧客データを元にしたマーケティングから進化した「個客」を意識したマーケティングがなぜ必要なのか、そのためにどのような施策が求められているのか、そしてそれを支えるソリューションは何なのかという気づきを与えるプログラムが用意された。
基調講演に登壇した青山学院大学経営学部の小野譲司教授は、自身も含めた国内外の研究結果を紹介しながら、顧客中心主義をひもといた。
小野氏は、単純に顧客の情報を集め、ロイヤリティを築き、満足度を高めれば良いわけではないと指摘。過去の成功体験にとらわれず、消費者の変化に合わせたマーケティング施策を行うために、顧客を深く理解しなければならないと話した。
続く主催講演では、日本オラクルの中里美奈子氏が登壇。中里氏は、ロイヤルカスタマーを育成していくために必要となるのが全方位から顧客を理解する顧客360°分析だと話した。
せっかく顧客のデータを持っていても、社内でそのデータを統合して管理できていないために、チャネル横断のカスタマーエクスペリエンスを提供できていない企業が87%にのぼるというデータもあると紹介し、CXクラウドでデータを統合し、いかにロイヤルカスタマー化を実現するか、デモを用いて解説した。
後半では、CXクラウドのOracle ResponsysとOracle Maxymiserを実際に活用している、シェアハウス事業を行うオークハウスの横山雄一氏がゲストスピーカーとして招かれ、同社での導入事例を紹介した。
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アドテクとマーテクの融合の先に、大きなビジネスチャンスが生まれる
続いて登壇したのはオラクル CXプロダクトマーケティング シニアディレクターのスティーブ・アール氏。
アール氏は「今後、ビジネスの意思決定は、間違いなくデータドリブンになる。そしてデータを資産として活用することの蓄積が、ビジネスにおいても大きな資産となる。それを実現できる企業が未来をリードしていくことができます」と話し、統合されたデータの管理と活用の重要性を説いた。
また、そのためには、これまで営業や広告など、サイロ別に分断されていた顧客コミュニケーションを、顧客を中心に置き、アドテクノロジーとマーケティングテクノロジーを融合させていくことが必要だと話した。広告をつくり、未知の顧客にリーチし、新規顧客の獲得を目指すアドテクノロジーと、一度エンゲージした顧客との関係を維持していくマーケティングテクノロジーは別の世界にあるのものではないと指摘。
「大きなビジネスチャンスが生まれるのは、この2つの世界がつながったところにある。顧客を中心に考えれば、アドテクノロジーとマーケティングテクノロジーは別のもとのは考えられなくなるはずです」と話した。
アドテクノロジーとマーケティングテクノロジーが融合した世界。未知の顧客と接点を持ち、さらにブランドとエンゲージメントを築いていく流れを、顧客「アイミ」とマーケター「コウイチ」という二人の視点から紹介し、顧客を中心に据えた、統合されたデータを用いたマーケティングの効果を解説した。
アール氏は、顧客360°のマーケティングにおいて重要な5つの要素、1データ、2インテリジェンス、3コンピューティング、4知識、5ID識別一致をオラクルは統合し続けており、これによって未知の顧客を既知の顧客に変え、ロイヤルカスタマー化へのジャーニーをカバーできると話した。そこでは「データこそがその燃料となる」(アール氏)とデータの重要性を強調した。
アール氏は顧客360°を実現するためのソリューションとしてオラクルが投資を行った「CX UNITY」についても紹介。カスタマーエクスペリエンスのプロフェッショナルが既知の顧客となった先に、その関係性をより強力なものにしていくことを支援するものだ。間も無くローンチされるこの製品については、3月に開催されるイベント「MODERN CUSTOMER EXPERIENCE 2019」で発表すると話した。
ものづくり革新とつながり革新-ブランド価値経営に転換するマツダの戦略
セミナーを締めくくったのは、マツダの梅下隆一氏が登壇した特別講演。創業以来、幾度もの危機を乗り越え、近年はロードスターをはじめ、魅力的な自動車を開発や経営改革によって再び成長を始めているマツダ。梅下氏は「これを支えているのは、卓越した商品を、コストを抑えて生産するものづくり革新と、値引き訴求からブランド価値訴求へ営業方針を変化させたつながり革新、ふたつの改革によるブランド価値経営への転換にある」と話した。
つながり革新では、カスタマーエクスペリエンス向上を目指し、カスタマージャーニーマップに当たる「グローバルCXマップ」を作成、グローバルで足並みを揃えてマップに即したオペレーション変革を進めている。このマップを世界で共有し、マーケティングやセールスを統合し、投資効率を高めているという。その背景にもオラクル含めデジタルのツールによるサポートが存在している。
魅力的な顧客体験が企業の競争軸になる時代
日本オラクル主催の「CX Management Seminar 2019」は、本レポートで紹介した講演を含む全4部のセッションが開催された。会場には、経営企画やマーケティングなどデジタルを活用したイノベーションやCXの責務を持つ関係者ら約約100名が参加。テクノロジーを使った、顧客体験の向上がこれからの企業の競争軸になっていく、その国内外の最先端を感じることができる1日となった。
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