インタビューでは、不意をつく質問と相手に寄り添う質問、どちらが正解?

話したいことを話せるように

それからしばらくして、黒柳徹子さんにインタビューする機会がありました。黒柳さんの出演する舞台の告知を兼ねてお話を聞くものでした。角さんに影響されたわけではないですが、インタビューの際には告知や宣伝に終始するのではなく、他の人がしないような質問をして、テレビの黒柳さんとは違う面を引き出したいと思っていました。

そこで、「同一司会者によるトーク番組の最多放送」としてギネス世界記録を持つ『徹子の部屋』で司会を務める黒柳さんに、”インタビュー論”そのものを聞こうと思ったのです。

インタビュー開始後、私は唐突に「どうやったら、相手が鎧(よろい)を脱いで素を見せてくれるような、はっとする質問ができますかね?」と問いかけました。すると、黒柳さんはこうおっしゃったのです。「あなた、面白いことをおっしゃるわね(笑)。相手を困らせるのがいいインタビューかしら?」。

さらに、「私はお相手が気持ちよく話せるようにインタビューするようにしているの。そのほうがいい表情をされるし。虚をつく質問は相手をうろたえさせ、結果として殻に閉じこもらせてしまうわ」と続けられました。

ああそうか、と私は思いました。イソップ物語の『北風と太陽』だと。相手を無理に裸にするインタビューではいけない。ゆっくりと質問を重ねていった結果、相手が鎧から一枚ずつ脱いでいき、結果的に「つい喋りすぎちゃいました」と言われるのが、黒柳さんの考えるいいインタビューなんだろうなと。

型どおりのインタビューではつまらないし、相手を困らせるのもよくない。隠し球的な質問は必要でしょうけど、角さんみたいに隠し球ひとつだけで勝負する勇気はまだありません(笑)。なにより、相手によって質問の内容も距離感もすべて違います。これさえ押さえればインタビューはばっちり、なんてメソッドはないと思います。だからこそ、インタビューは楽しいのです。

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