前編集長がプロデューサーに
—まず、現在の編集体制と、プロデューサーの役割について教えてください。
河原:プロデューサーの尾藤と、編集部5人の計6人で進めています。尾藤はギター・マガジンの名前を冠したリアルイベントやウェブで情報を発信するデジタルコンテンツの企画をプロデュースします。これまでもリアルイベントやデジタルの企画へは編集部で取り組んできましたが、2019年からは役割を切り分けているんです。
尾藤:プロデューサーとして、誌面の特集を体感できるイベントにつなげるなど、誌面と連携しながらやっていく予定です。とはいえ、プロデューサーになって日が浅いこともあり、何をやるかはまだまだ模索中ですね。
紙だからこそ「重い情報」を
—『ギター・マガジン』といえば、100ページを超える「大特集主義」で売上を伸ばしています。現在のような編集方針となったのは2016年とのことですが、どのようなきっかけがあったのでしょうか。
尾藤:僕が編集長になったのは2014年ですが、それ以前から「紙の本だけをつくっていく時代じゃなくなっていくんだろうな」という考えが頭の片隅にありました。
例えば教則本も、実際に音が聴けたり弾いている動画が観られたりしないと読者を「弾く」という行動まで結びつけられないんじゃないかと思い、アーティストが実際に曲を弾いている動画をYouTubeのギター・マガジンOfficial Channelにアップし、その演奏を譜面で誌面に掲載して連動させるなど、2009年ごろから個人的に試行錯誤してはいたんです。
その中で、雑多な情報を発信する役割がウェブに移っていったこともあり、雑誌は「ひとつの重い情報の集合体」にしようと考えました。2016年は、たまたま編集部員が若いスタッフに代わり、河原が『ベース・マガジン』から異動してきたタイミングでもあったことから、「とりあえず一冊やってみよう」というノリで、『ギター・マガジン』2016年8月号で大特集「逆襲のジャズマスター」を企画したんです。
それまでにも大特集はありましたが、デザインに統一感を持たせたり、内容のフォーマットを決めたりしたのはそれが初めてでした。