「3COINS」特集が爆発的ヒット
—リニューアル号である4月号の反響はいかがですか。
300円ショップの「3COINS」の特集を組んだところ、爆発的に売れています。読者からは「平凡な毎日が、手の届くアイテムによってこんなにキラキラする日々に変わるんだと分かった」という声が寄せられました。それはまさしく『Mart』がここ数年で目指してきた理想の雑誌の在り方です。ワンテーマを掘り下げることによって、それを伝えることができたのは良かったと思っています。
中でも反響が大きかったのは「衣類干しネット」のページです。「衣類干しネット」は、過去の「3COINS」特集でも取り上げたことがありましたが、もっと知りたいという要望が特に多いアイテムでした。改めて使い方を詳しく伝え、専門家がニットの洗濯方法を解説したり、衣類以外の用途やアレンジ方法まで提示したりすることで、商品の可能性を示すことができました。
—特集の最初を「コインランドリー」から始めたのはなぜですか。
メーカーと読者からのヒアリング、そして世の中の流れを見た結果、大きなニーズがあると考えたからです。まずメーカーから「コインランドリーを使う主婦が増えていて、既存のランドリーグッズが売れている」という情報が得られました。そこで浮かんだのは「主婦がコインランドリーなんて使うの?」という素朴な疑問。それを読者にぶつけたところ、布団やカーテンといった大きいもの、子どもの靴など家では乾かしにくいものはコインランドリーで洗っていることが分かってきた。
しかも、コインランドリーに対する読者の熱量がすごかったんです。言われてみれば、カフェやコワーキングスペースが併設されたおしゃれなコインランドリーが増えています。そこで新発売のランドリーグッズにフォーカスし、使い方やシチュエーションなどを細かく紹介していくことに決めました。メーカーの話と読者が重なるところを企画にしている感じです。読者の声がなければ、コインランドリーで撮影しようとは思わなかったと思います。
否定的な意見にヒントあり
—『Mart』ではどのように読者調査を行っていますか。
まず、100~200人の読者会員にアンケートを行います。そのうち、20~30人の方に実際にお会いしてヒアリングをします。その際、読者のご自宅にお友だちを呼んでいただいて話を伺うことが多いですね。リラックスして話していただけますし、取り上げたいアイテムがどう置かれ、どう使われているかも分かりやすい。本人が普段の使い方を思い出しやすいというメリットもあります。
読者調査をするときのポイントは、「ファンすぎない“普通”の人に聞く」こと、それから否定的な人の意見を無視しないことです。読者にヒアリングしていても、何も聞けずに終わってしまったり、「このブランドは好みじゃないので買いません」と言われたりすることもあります。
けれど、そういういい話が出てこない時にこそ、企画のヒントがある。肯定的な人の意見ばかり聞いていると、誌面で扱う基準や量を見誤ってしまいます。否定的な人を「そういう人もいるんだ」と受け入れ、「どのアイテムなら刺さるか?」「どういう使い方なら欲しくなるか?」を探り、その人が買いたくなる企画を考えるようにしています。