「App Ape Award 2018」(主催:フラー)においてApp of the yearを受賞するなど、話題を集める「TikTok」。その月間アクティブユーザーは950万人を数える。2019年2月、日本ロレアルのブランド「メイベリン ニューヨーク」はターゲット拡張のためにTikTokを活用したプロモーションを実施。取り組みについて日本ロレアルの菊池氏、ByteDanceの鈴木氏に聞いた。
デジタルネイティブ世代へリーチ
ターゲット拡張にTikTokを活用
菊池:今回、メイベリン ニューヨーク(以下、メイベリン)のカールタイプのマスカラ「ボリューム エクスプレス ハイパーカール ウォータープルーフN」を「TikTok」のインフィード広告で訴求しました。私自身、TikTokはいち生活者として注目していたメディアで、グローバルキャンペーンで爆発的な伸びを記録した実績もあったので、日本で活用できないかと考えていました。
鈴木:最近は街でTikTok動画を撮影している人を見かけたり、生活に浸透してきていることを私たちも実感しています。TikTokユーザーが多様化する中で、広告での活用においては、やはりテレビCMだけではリーチが難しくなってきているデジタルネイティブ世代にアプローチしたい広告主さまから特に期待をいただいているように感じます。日本ロレアルさんに対してもデジタルネイティブ世代に向けたコンテンツ設計を提案しました。
菊池:今回、TikTokを活用してプロモーションをしたマスカラは、2007年に発売された製品で、30代~ 40代のお客さまを中心に10年以上愛されています。ただ、市場では、カールタイプのマスカラは10代~20代のニーズが高く、実際の購買層との間に大きなギャップがあることが課題として挙がっていました。
鈴木:課題解決のため、TikTokを選んでいただいた最大の理由は何だったのでしょう。
菊池:メイベリンはこれまでもSNSを活用するなど、デジタル施策を推進してきました。一方で決まったSNS内で、広告施策のターゲティングを変えてもなかなかデジタルネイティブ世代まで裾野が広がっていかないことも実感。インクリメンタルに認知や獲得を広げていく必要がある中で、TikTokは勢いもあり、デジタルネイティブ世代からも支持が厚い点に価値を感じたことが一番の決め手になりました。
また、これまで一方向のコミュニケーションになりがちだった動画広告を、動画を起点にしてバイラルさせることができるのもTikTokのユニークなポイントだと思います。
ユーザー文脈のコンテンツを提案
配信後の調査までパッケージで
菊池:メイベリンのコアターゲット像をひと言で表せば、“芯を持っている強い女性”ですが、今回のプロモーション目的はターゲット拡張。近年のトレンドでもあるナチュラルなメイクを好むユーザーで、かつデジタルネイティブ世代を狙っていくことにしていました。
具体的に言えば、メイベリンのコアユーザー層とは異なり、「かっこいい」よりも「かわいい」と言われたい。また少し極端に言えば、「みんなと同じが良い!」「SNSへの投稿に、いいね!がつかないと不安…」といった、これまで狙ってこなかったマインドを持つ層へのコミュニケーションが必要でした。
鈴木:まさにTikTokのコアユーザーであるデジタルネイティブ世代の特徴を備えたターゲットですね。
菊池:はい。加えて業界全体で製品の機能性による差別化が難しくなってきています。施策を通じて、上手にブランドの世界観や特徴を伝えていかなければ、さらなる成長は難しい状況だと考えています。
また今回のクリエイティブでは「若者向けの製品」として認知を広めたいという想いもあったので、製品の主張を抑えて、ユーザーへ「これはあなた向けの製品ですよ」というメッセージをまず伝えることを意識しました。
鈴木:広告然とした表現が消費者から受け入れられづらくなってきていると言われて久しいですが、いかに自分向けのコンテンツだと思ってもらえるかはTikTokでのマーケティングにおいても重要なポイントです。TikTokユーザーはコンテンツに期待してアプリを開きます。期待している気分に沿った広告クリエイティブの在り方を考えることが欠かせません。
菊池:その点、X Design Centerの皆さんにはトレンドへの知見に基づく“ユーザー文脈”のコンテンツ提案はもちろん、クリエイターやインフルエンサーのアサイン、さらに配信後のブランドリフト調査までパッケージで実施してもらうことができました。
ユーザー自身が動画を拡散する
双方向性が求められる広告
鈴木:今回、制作した広告「まつげ彼氏」は、他のインフィード型広告と比較しても大きな反響に繋がりました。ブランドリフト調査の結果はどのように受け止めていらっしゃいますか。
菊池:2月10日に広告を配信し、2月21日までに4万8700ハート、2904 コメント、709 共有を記録。高いエンゲージメントを獲得できただけでなく、ブランドリフト調査でも認知度や好意度の向上が確認できました。
また、TikTok以外のSNSでも反響が見られました。ユーザー自身が動画を真似し、拡散していく。ユーザージェネレイテッドなプラットフォームは今後の動画活用の方向性としても、ひとつの大きな選択肢だと思います。
鈴木:TikTokは縦型動画コンテンツ×音楽という点で特にユニークなプラットフォームです。このプラットフォームを通じて、狙った層にアプローチできるコンテンツ設計をすることは私たちの重要なミッション。また、インタラクティブにエンゲージメントを高めていくスタディや手法を広告主の皆さまに提供していくことも同様に重要視しています。これらの活動を通じて、生活者に自然に寄り添った、ポジティブなマーケティングが当たり前になる時代をつくっていきたいと考えています。
お問い合わせ
ByteDance株式会社 X Design Center
TEL:03-6258-0188
E-mail:pr@tiktok.com