山村浩二氏によるアニメーションで伝える日本の象牙問題の真実

米国カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置く環境保全団体WILDAIDと認定NPO法人アフリカゾウの涙は、象牙問題の真実を伝えるプロジェクト「Hankograph(ハンコグラフ)」を始動。特設サイトを開設し、動画を公開した。

 

両団体は日本において、IVORY FREE JAPAN 2020(象牙を使わない日本)を目標に宣言し、グローバルコミュニティーと共に日本が象の保全に参加することを目標としている。その目標のもと、本プロジェクトは野生生物製品の需要を減らす活動の一環であり、日本の象牙販売・取引への問題提起として立ち上げられた。

象牙捕獲を目的に多くのアフリカゾウが密猟され続けており、2016年のワシントン条約締約国会議Cop17では、象牙の国内取引を世界的に閉鎖することが決議された。後に当時象牙消費大国であった中国や香港は2017年で象牙国内取引をやめる計画を発表している。そんな中、日本は国内象牙販売量が世界一であり、その80%が印鑑に使用されているという。

こうした現状とその残虐さを伝えるべく、制作されたのが動画「Hankograph」である。「#私は象牙を選ばない」をステートメントとし、“印鑑の残虐性を、印鑑によって伝える”ことをテーマに、このアニメーションはすべて印鑑によって制作されている。

制作を手がけたのは、GREY Tokyo。映像のディレクションは、アカデミー賞にノミネートされた『頭山』などで知られるアニメーション作家、山村浩二氏が担当している。サバンナを悠々と歩くアフリカゾウが、象牙捕獲のために銃で狙われた後に、生きた状態のまま顔面を削り取られ、牙を奪われる残虐かつリアルな光景を、印鑑を使って描いている。この映像のために500本の木材の印鑑を使用し、2400枚の紙に押印、一枚ずつ撮影して映像化した。

こちらのメイキング動画も公開されている。

 

GREY Tokyo クリエイティブディレクター 多賀谷昌徳氏は「問題は、多くの日本人が“知らなかった”こと」と指摘する。

「日本が象牙消費大国であること。象牙が生きた象から獲られていたこと。そして、アフリカゾウが絶滅の危機にあること。僕も、この仕事に関わるまで知りませんでした。ハンコは、日本人にとってサインに代わる非常に重要なもの。だからこそ、自分のハンコを作るとき、なんとなく選ぶのではなく、よく考えて、象牙以外のサステナブルな素材を選んでほしい。この映像に込めたメッセージが、ひとりでも多くの人に届き、行動を変えるキッカケになったらうれしいです」と話す。

両団体は、4月に東京・代々木公園で開催されたアースデーに出展した。その際に、会場では「Hankograph」動画制作時に使用された500本の木製印鑑を展示。訪れた人の多くが映像と木製印鑑の現物を見て、象牙印鑑の裏側にある問題に触れることができたという。

また特設サイトでは、日本における象牙取引の閉鎖に対する署名運動を展開していく。

スタッフリスト

企画制作
GREY Tokyo
CD
多賀谷昌徳
AD
高井学
D
西若千穂
デジタルデザイナー
高丘まりあ
アカウントディレクター
福田恵
PR
木下健太郎
PM
今野聖也
キャンペーンPR
山脇愛理
アニメーション監督
山村浩二
撮影
上野千蔵
照明
池田啓介
SE
笠松宏司
音楽
冷水ひとみ
MA
戸村貴臣
編集(オンライン)
沖野好常
編集(メイキング)
浅岡譲二

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