今回はウテナから「ロングセラー化粧水を思わず買ってみたくなる企画」という課題のオリエンテーションです(課題詳細ページはこちら)
時代背景から生まれた「ロングセラーブランド」
当社は今年で92年めを迎える会社です。化粧品の中でも、総合スーパーやドラッグストアなどでお客さまがセルフで買っていただくようなセルフ化粧品というジャンルを扱っているメーカーです。ブランドごとにターゲットが違い、幅広い層のお客さまと接点があります。
今回の課題となるスキンケア化粧品「ウテナモイスチャー」はメインターゲットが70歳代~80歳代の女性で、「お肌につけるものだから自然なうるおいで満たしたい。毎日使うものだから強さより優しさを届けたい。ずっと続けてほしいから、背伸びするよりも気がねなく使ってほしい」というのがブランドコンセプトです。
「ウテナモイスチャー」の特徴は、「アロエの自然なうるおい」「安心・安全を考えた独自製法」「シリーズ累計販売数が1億本を超えたロングセラーブランド」という3点です。商品開発当初は、酸性雨やオゾン層破壊など環境問題に対する注目が高まっており、「自然派志向」が芽生え、自然環境が見つめ直された時代でした。そのため、発売時のターゲットは安心・安全な化粧品を求める30歳代の「自然派志向」の女性でした。
処方は商品発売時からほとんど変わることなく、現在も愛され続けています。価格は、ブランド全体で775円と統一しています。(濃厚美容クリームのみ950円、いずれも税抜)モイスチャーシリーズの中では「ふきとり化粧水」「さっぱり化粧水」「しっとり化粧水」の三種類が売れ筋の商品となっています。
ロングセラーブランドが抱える課題
次に、商品のポジショニングについてですが、「ウテナモイスチャー」は年配の方向けのナチュラルな化粧品として、ポジションを確立しています。同様の商品には「へちま」の化粧品などがあり、また、ナチュラルな化粧品で若年層に人気の製品としては、ハトムギや豆乳などが挙げられます。
「ウテナモイスチャー」のユーザー層を見てみると、50歳代~90歳代が72%を占めており、そのうち70歳代が26%となっています。35年前に30歳代向けの化粧品として発売したため、その世代の人たちに長年ご愛用いただいており、ユーザー層が高齢化しているというのが現状です。近年は、ユーザーの高齢化に合わせて、愛用者に向けたキャンペーンや、高齢者層にリーチできるメディアを中心にプロモーションを行っています。
近年、モイスチャーブランドの中でもコールドクリーム(クレンジングやマッサージなど広い用途で使えるクリーム)が若年層のユーザーが拡大し、伸長しています。理由は昨年、いわゆるユーチューバー(ネット動画配信者)がコールドクリームを取り上げたことから、ソーシャルメディアで話題となり、需要が高まったためです。
しかし、コールドクリームの伸長だけでは、ブランド全体の売り上げはカバーできず、売り上げ10億円超のメガブランドである、「ウテナモイスチャー」も使用者の減少により年々売り上げが落ちています。