本戦は、ブルーオーシャンを狙ってみた。
本戦の課題は「韓国におけるPanasonicのLUMDASHという電動シェーバーの販促アイデア」でした。AD STARSのスポンサーにPanasonicさんがいることもあり、出題と同時に開発者の方から商品説明を受けるセッションがありました。競合と比べて優れている点やシェアの現状など細かくブリーフをもらえるので、実務に近い出題になっていたと思います。提出形式はB4サイズ1枚またはVコン。午前9時に出題され、提出は27時間後でした。
私たちのチームが提出したのは「UBER SHAVING」というアイデア。
“Uber利用時に車内でシェービングができるサブスクリプションサービスを立ち上げる”というものです。
アイデアの背景としては、
1.LUMDASHは1個5万円ほどする高価格帯の商品なので、お金のあるビジネスパーソンをターゲットにするのが有効。
2.揺れるタクシーの中での髭剃り体験は、電動シェーバーであるLUMDUSHの安全性やスピードというUSPを訴求するのに最適。
3.Panasonicという老舗企業とUberという新興企業のコラボは、ビジネスニュースになりターゲット層に届きやすいかもしれない。
などがありました。
アイデア自体はオリエンから45分くらいで思いついたものでした。ほかに、もっと表現を飛ばしたアイデアも出ていたので「本当にこれでいくべき?」という議論を深夜まで2人で続けました。ですが、逆にマーケティングアイデアとして目立てるのでは?というブルーオーシャン戦略で、結局このアイデアで勝負することにしました。
提出して翌日には、審査員の前で質疑応答する時間があったので、上記のポイントをグイグイの熱盛りでプレゼンテーションしました。結果としては3位の銅賞をいただくことができました。審査員の方は、アイデアの飛び具合だけでなく背景もしっかり聞いてくれる印象です。
反省点としては、韓国では近年Uberの普及がイマイチという指摘を受けてしまったことです。Google検索は一応していたのですが、記事が古かったようです。ローカルのリアルタイムなリサーチを入念にしたほうがいいと反省。
ちなみに2位のアイデアは「BUZZY NOIZE FOR BUZZ」。
電源の入ったシェーバーを街中の木にセミのように貼りつけて事件を起こすというゲリラ的アクティベーションアイデア。……「まじか!?」と一瞬なるような一見クレイジーなアイデアなのですが、Vコンを丁寧につくっていた点や、他のチームにない独創的な視点が評価されたのではないかと思います。タイトルもかっこいいですね。
1位のアイデアは「SOUL GROOMING」
韓国では自殺率が極端に高く深刻な社会問題になっています。そこで「髭剃りの時間を精神統一の時間にしよう」と呼びかけるアイデアの提案。ヘルスケアアプリとシェーバーを連動させて髭剃りの時間をコンテンツ化するというものです。社会問題と結びつける系のアイデアは他のチームにもあったのですが、韓国独特のイシューを丁寧にリサーチして上手く商品と結びつけていた点が評価されたのではないかと思います。
受賞したのはハンガリーのチームです。はるばる韓国まで来たガッツもすごいです。話を聞くとビーチで実際に韓国人の方に、社会問題をリサーチしたとか。フットワークで考える姿勢を見習いたいです。
コンペ全体を俯瞰してみると、受賞していない他のチームのアイデアも各国から選抜されているだけあって、かなりレベルが高いと思いました。素直に勉強になりました。ただ、表現で勝負しようとするチームが多くて、Vコンまでつくるチームも少なくなかったのですが、その戦略はレッドーオーシャンで損かもしれないなー……という感触はありました。
もし今年、挑戦する方はチームのアイデアとして「社会問題枠」「表現枠」「マーケティング枠」など、どの枠で勝つのかを考えておくとサバイブしやすいかもしれません。あと、どのコンペにも言えることかもしれませんが、質疑応答時の対応も加点されている気がしたので、提出後には想定問答集はつくっておいたほうが絶対に得します。英語のできるパートナーがいると心強いと思います。