大人気ぬまっち先生のクラスはまるで田舎の「スナック」みたい? (ゲスト:沼田晶弘)【後編】

うまくいかない先生と、ぬまっち先生の違い

権八:やっぱり凄いなと思うんですけど、苦労してる先生たちもいっぱいいるじゃないですか。大阪のほうの中学か高校の先生が残業月150何時間になって、心身に障害をもたらすと訴えたり。ニュースを見てると、仕事が辛いという先生の話ばかりの印象を受けるんです。でも、ぬまっち先生は楽しそうだし。

中村:そう。正直言いづらいと思うんですけど、普通にやっている先生たちは何がいけないんですか?

沼田:この前、洋基さんと2回目にお会いしたときに、やたらと「KPI」という言葉が出てたじゃないですか。じつはそのとき僕はKPIが何か知らなかったんです、お恥ずかしながら。帰って超勉強したんですけど。

中村:そうそう、マーケティングに強い人達と飲んでたんですよ。そうするとKPI、広告でいう目的指標ですよね。目的と言えばいいじゃんという話なんだけど、ここを達成できればOKというふうに使っていて。

権八:沼田先生、誤解してほしくないのは、洋基くんはちゃんと言ってくれたけど、僕は意外とわかってないです。

沼田:(笑)。あのときKPIという言葉を勉強して思ったのは、KPIは子どもの学び、向上に置くべきであって、それが何となくどれだけ自分がやってあげるかのほうに置かれちゃってるんじゃないかと思うことはあります。

中村:教育で教えすぎちゃうということですか?

沼田:いろいろありますけど、たとえば教室の机がズレてると心が荒れるから、帰りに必ず綺麗に直すというのがこの業界では当たり前に言われていることなんですよ。

中村:そうですよね。よくありますよね。

沼田:僕はそれやらないようにしてます。

権八:それは整理整頓が苦手だからじゃないですよね(笑)?

沼田:それもあるんです(笑)。だけど、それやってると、どんなに汚して帰っても綺麗になってるから、あまり重要性がないというか。子どもがいつも綺麗にして帰って「気持ちいいね」という感覚をもてれば自分でやるようになるじゃないですか。ゴミ捨ててあっても汚くても次の朝に綺麗になってたら綺麗にしなくてよくないですか? その代わり、誰かに「沼田先生のクラスって教室綺麗だよね」と言われたら、「僕は一切やってません。子どもたちが全部偉いです」と言うようにしています。

中村:経営の上司からの部下に対する教育にも通ずるところがあるんじゃないかなと思って。ぬまっち先生は大人が相手だとどうですか、できそうですか?

沼田:実習生は大人なので、できてるんじゃないかと思いますけど。彼らにいっぱい教えてあげたいこともあるけど、そもそも自分が若い頃とも時代が違うじゃないですか。

権八:そうですよね。僕はご著書を読んで「実習生、勇気あるな」と思ったんだけど、ぬまっち先生の授業を見て「もっとこうしたほうがいいんじゃないか」と言ってくる実習生がいると。

沼田:います、います。実習生は面白くて、学校で3年ぐらい勉強してくるわけですよ。ああでもないこうでもないと、ものすごく理論を一生懸命やってきて、現場に来て、まだ自分は授業してないからいろいろ見て言うんですよ。でも1回自分でやると、ものすごく話を聞くようになります。

中村:思ってるように子どもたちが動いてくれないからか(笑)。

権八:わざと失敗させるじゃないけど、初めてやって失敗を経験するじゃないですか。そうしてスポンジ状態になって、そこから初めてアドバイスされるということですか?

沼田:そうです。でも最初から上手な子も当然いますよ。僕はだいぶ話を聞きたくなってるなというときにお話をします。彼らと3週間過ごすんですけど、終わった後の打ち上げで必ず言われるのが「最初怖かったっす」です。

中村:へー。

沼田:あまりアドバイスもしないし、いいんじゃないと言ってるから。

権八:聞きたい状態になるまで待ってるということですよね。子どもには失敗を恐れないチャレンジングな子になってほしいじゃないですか。そのためにはどう接したらいいのかなといつも思うんですよ。でもつい注意してしまうことも。失敗との付き合い方について、もっとこうすればいいなどありますか?

次ページ 「最初から失敗していいとは絶対に言わない」へ続く

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