最初から失敗していいとは絶対に言わない
沼田:僕は失敗していいとは思わないんですよ。全力でやった結果、いろいろリスクマネジメントもした、でも失敗しただったら仕方ないと思いますが、何もしないで練習もしないで、運動会は勝っても負けてもいいんだよとは言わないんです。練習しないで負けたら、ほらざまみろと言いたいんです。でも練習して負けたら負けてから考えようという感じです。
中村:運動会の外発的動機付けでいうと、「絶対優勝したいよね」ということですか?
沼田:最初はそうです。ただ、だんだん練習を重ねて成果を出しはじめると、勝ちたくなるから自分たちでどんどん練習がはじまるんですよ。予行練習で何回か対戦して成果が出るじゃないですか。そうすると急に頑張るんです、みんな。
権八:でも、いろいろあって、優勝できなかったんですよね?
沼田:4年生ですね。優勝はしたんですけど、結果が悪かったんです。
権八:どういうことですか? タイムが悪かったんですか?
沼田:そうです。合計着順で優勝するので、優勝はしたんですけど、彼らの求めているような着順ではなかったんです。
権八:彼らが一生懸命頑張ってきたのを見てきた親御さんもみんな泣いてたと。
沼田:まわりから見たら異様ですよね。だって勝ったチームがみんなで号泣してるんですもん。担任もウルウル来てるし、負けちゃって。
中村:負けてないんですよね(笑)。
権八:そのとき子どもたちにどういう言葉をかけるんですか?
沼田:そのときは肩をぽんぽんとやって。でも僕も一緒に悔しいなと言ってました。
中村:ここだけの話、先生ははじめから教壇に立たれて、挫折があって、それでやり方、必殺技を見出したわけじゃないんですか? はじめからマイスタイルがあったんですか?
権八:ねぇ、どうしてこういうことになったのか(笑)。
沼田:失敗はちょいちょいやってるんですよ。でもそのたびに、子どもにも言ってるんですけど、失敗はするから、失敗したらすぐ謝ろうぜと。ごめんなさい、自分はもっとこうしたい、ああしたいとやって、次に繋げていこうという話をします。最初の頃は授業も僕がしゃべってる時間が長かったと思いますが、これも子どもにやらせればいいんだ、これも、これもとやってるうちに、だんだん自分の仕事がなくなってきて。そしたらそっちのほうが成果高いじゃんと。
中村:あれですね。編集者の箕輪厚介さんが前に「すぐおわ」に来たじゃないですか。オンラインサロンの運営の仕方の話をしていて、はじめはホリエモンなどビッグゲストを呼んで、お金を払ってる人たちが満足するようにイベント的に組んでいたと。
権八:でも、そうするとサロンメンバーが受け身になるんだよね。
中村:そう、受け身になるからやめて、勝手にサロンメンバーにやりたいことやこっちがやらなければいけないことを振って、自発的にやらせると勝手にコミュニティができていくから、それが最終形だと言っていて。それに凄く近いものを感じましたね。
沼田:誰かに言われたことありますよ。田舎のスナックみたいと。
権八:田舎のスナック?
沼田:常連さんがお皿を洗ってたりするじゃないですか。
中村:あー、なるほど。
沼田:だから1人で経営できてると。
中村:「ビール出して」というと、あいよと言って、店員じゃないおっちゃんがね。
沼田:誰かと思ったらお客という。
権八:スナック的なことを。ショールームの前田社長もキンコン西野くんとスナックやるしね。誰かがやって誰かが受け取る、受け身になるじゃないんだろうね。みんなが自発的にお手伝いしたくなるとか。なんでかというと楽しいからですかね?