今回は日本コカ・コーラから「シニア世代がコカ・コーラ社製品を、思わず手にとりたくなるアイデア」という課題のオリエンテーションです(課題詳細ページはこちら)
課題対象となるブランドは5つ
コカ・コーラは、世界200カ国以上の国で事業を展開しておりますが、日本での販売量は世界で5位と、当社としても重要な地域です。現在、日本では25のブランドがあります。中でも「綾鷹」や「ジョージア」、「い・ろ・は・す」「アクエリアス」の4つは日本発のブランドです。今回の課題の対象となるのは、この4ブランドに「コカ・コーラ」を加えた5つとなります。
それでは、次に各ブランドについてご説明いたします。「コカ・コーラ」は1886年に誕生し、非常に歴史の長いブランドです。炭酸カテゴリーのシェアトップであり、市場全体が縮小する中、「コカ・コーラ」は伸長しています。炭酸カテゴリー市場では、2015年と2018年を比較すると、特に40歳代以上のユーザー割合が伸びています。
マーケティング活動のポイントとしては、東京五輪やラグビーワールドカップなど世の中のイベントのノイズに合わせてプロモーションを企画・実施したりしています。先般の改元でも、新元号を記した「コカ・コーラ」を発表から間もなくサンプリングするリアルタイムマーケティングを実施しました。
同商品のブランドイメージの優位性として、「楽しむ」「気分が上がる」「いつも新しいことをしている」「友人とつながる」「ブランドリーダー」が挙げられます。
次に「ジョージア」は、1975年発売で、こちらもロングセラーブランドで、売上数量としてはシェア第2位となっています。「だから私は、がんばれる」をブランドコンセプトとして、もともとターゲットは40歳代の男性でしたが、女性も含めた働いているすべての人たちへターゲットをシフトしました。コミュニケーション活動については、広告などを通じて“がんばりを応援する姿勢”を示し、ターゲットとエモーショナルな結びつきを強めることを狙いとしています。
「ジョージア」のブランドイメージは、「自分の定番飲料」「パートナー」「毎日飲むのにちょうどいい」「ちょうどいい量と甘さ」などが優位性の高いキーワードとして挙げられます。
「綾鷹」は、2007年に上林春松本店と共同開発して発売した商品です。現在、お茶カテゴリーの市場は拡大傾向にあり、「綾鷹」は市場シェア第2位になります。現在のブランドコンセプトは「お茶にしましょう。綾鷹」。今後のプロモーションでは、”食”オケージョンの強化と東京オリンピックの活用を考えています。
ブランドイメージとしては、「おいしい」「甘みがある」「甘みと苦味のバランスがとれた味」「香りがいい」が優位性の高いキーワードとなっています。
1983年に発売した「アクエリアス」は、国際オリンピックやFIFA ワールドカップの公式スポーツ飲料です。スポーツ飲料市場は縮小傾向にありますが、ゼリーカテゴリーや機能性カテゴリーは2桁伸長しています。アクエリアスは市場シェア第1位の位置づけとなっています。
今後は「全力って、おいしい。」というシンプルなコミュニケーションをしていくことで、「アクエリアス」がおいしい!と感じる瞬間をわかりやすく訴求していきます。また、セレブリティを最大限に活用するようなプロモーションも実施します。
「アクエリアス」のブランドイメージとして優位性の高いキーワードは、「体を動かしたい気持ちになる」「ちょうどいい甘さ」「飲みやすい」「リフレッシュさせてくれる」「毎日の水分補給に適している」「体を冷やす」などです。
最後に「い・ろ・は・す」は、2009年に発売した商品で、簡単にクラッシュできるというecoボトルとしても、印象付けることができたブランドです。現在、ウォーターカテゴリー全体の市場は拡大傾向にありますが、甘いフレーバーカテゴリーはダウントレンド。一方で炭酸水カテゴリーのシェアが大きく伸長しています。「い・ろ・は・す」の市場シェアは第2位の位置づけとなっています。
現在のコミュニケーションは「“おいしい”天然水は近くにある」をブランドメッセージに定め、プロモーションを実施しています。「い・ろ・は・す」のブランドイメージとして優位性の高いキーワードは、「環境にやさしい」「おいしい」「洗練されたスタイリッシュ」などが挙げられます。
拡大するシニアマーケット
さて、今回の課題で募集するのは、シニア世代がコカ・コーラ社製品を思わず手に取りたくなるようなアイデアです。これまで65歳~75歳のシニア世代を意識したプロモーションを実施してこなかったのですが、アイデアを募集したいと考えています。
なぜシニア層なのかについてご説明いたします。総人口が減少する中、50歳代以上が占める割合は2030年に向かって10%増を見込んでいます。2015年時点で飲料の消費は50歳代以上が44%を占めており、毎月の支出についても50歳以下よりも2万円多い10万円を費やしています。
一方で当社のシェアは年齢が上がるにつれて下がる傾向にあります。シニア世代の人口の増加、シニアの一人当たりの消費量、支出の拡大から、コカ・コーラ社として市場で成長する機会があると考えています。
また、平均寿命が延びていることから、ますますシニア層へのアプローチが重要になってくると考えています。
今回の課題のターゲットとしている65歳〜75歳の主な購買チャネルは、スーパーやコンビニの併用が多いことがわかっています。ドラッグストアを利用している層はスーパー、コンビニと合わせて3種類のチャネルを活用している、買い物感度の高い一部の層だと推測できます。
求めているアイデアは、商品開発ではなく、シニア向けのプロモーションとして展開できるアイデアです。シニアのインサイトは当社が考える以外にもあると思っていますので、自由な発想でのご提案をお待ちしています。