企業の役員に占める女性割合の向上を目的に発足した組織「30% Club Japan」は5月30日都内でプレス説明会を行った。2010年にイギリスでスタートした「30% Club」が母体で、現在アメリカ、オーストラリア、カナダ、アイルランド、イタリア、トルコ、南アフリカ、ブラジルなど、13の国と地域に活動拠点が広がっている。
メンバーは、ジェンダー課題を「喫緊のビジネスの課題」と捉える企業のトップたちで、自ら主体的にダイバーシティの取り組みを推進する活動を展開する。
今回日本でも、この活動に取り組むために「30% Club Japan」が5月1日に立ち上がった。当日はデロイトトーマツコンサルティングのシニアマネージャーで、本グループの発足メンバーである只松美智子氏が本グループの概要を説明。日本企業の世界での存在感低下を課題に挙げ、「ダイバーシティの実現で日本企業のパフォーマンスを向上させたい」と展望を語った。
具体的な活動内容は、日本企業に対する意識改革と統合的アプローチの実践の2点。本グループが指揮する形で、メディアや機関投資家など領域ごとにコミュニティグループを形成し、日本企業にダイバーシティの考え方を主流化させる。
当日は機関投資家のコミュニティの代表であるダグラス・ハイマス氏が登壇し、その目的、目標を説明。企業への影響力が大きい機関投資家が働きかけることの重要性を述べるとともに、2020年までにTOPIX100(東証一部上場銘柄の中でも時価総額および流動性の高い大型株100銘柄)の企業における女性役員の割合を10%に、2030年には30%にするという、具体的な数値目標を提示した。
このほか、機関投資家グループからは三井住友トラスト・アセットマネジメントの執行役員である堀井浩之氏、メディアグループからはジェンダー関連の社会問題に詳しい、ジャーナリストの治部れんげ氏も登壇した。
只松氏は今回の取り組みの利点について「個人ごとに活動する動きは今までもあった。点でもなく、線でもなく、面として活動していける場を提供できる点は日本のダイバーシティ実現に大きく貢献できるのでは」と語った。