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「窪之内英策 絵空ゴト」が、6月16日まで大阪芸術大学 スカイキャンパス(あべのハルカス24階)にて開催中だ。
紙と鉛筆だけで、人をどこまでワクワクさせられるか
漫画『ツルモク独身寮』『ショコラ』などで知られる窪之内英策さんだが、近年はキャラクターデザインやイラストで作品を目にする機会が増えている。
現在、開催中の個展「絵空ゴト」では、鉛筆画やカラーイラスト、漫画の原画などが展示されている。展示作品には仕事として描いたものだけではなく、普段の生活の中で描きためたものも多い。それらは、窪之内さんいわく“ラクガキ”。窪之内さんはその日に見たものや気づいたことを日記に書くように、A4のコピー用紙に鉛筆で描くという。
「例えば道で出会ったカップル。そこに感じるものがあると、僕の中で勝手に物語が始まるので、それを1枚の絵として描き上げます。1枚の絵には漫画のような物語はないけれど、見た人にその先にある物語まで感じてもらえたら、と思いながら描いているんです」。
こうした“ラクガキ”の多くを、窪之内さんはTwitterに投稿している。そこには「絵を見てくれる人を楽しませたい」という強い思いがある。
「もともと僕は誰かに絵を見てもらいたいという気持ちが強いんです。だからTwitterは僕のつぶやきを見てもらう場ではなく、自分の作品を見てもらうエンターテインメントの場として捉えていて、フォローしてくれている人たちをどこまで楽しませることができるか、ひたすら考えています」。
窪之内さんにとって人を楽しませることができる一番身近な道具が紙と鉛筆であり、それはデジタルでなんでも制作できる現在においても変わらないアナログな手法。紙と鉛筆だけで、人をどこまでワクワクさせられるか。今回の展覧会では、まさにそのことが大きなテーマとなっている。
「こういうシンプルなものだけでも人を楽しませることができることを、特にデジタル世代の若い人たちに知ってもらいたいです。というのも、デジタル機器に頼ってしまうと、つくり手がどこかで楽をしようとする部分が出てくる。それが最終的に作品の世界観やキャラクターにも影響してくると僕は考えています。だからこそ最初から自分の手で描いて、失敗して全部やり直して、ということを若いうちに経験しておいてほしいと思っています」。
個展「絵空ゴト」には前期・後期合わせて1000点近い作品が展示されている。でも、この展覧会は窪之内さんにとって集大成ではなく、「これから、もっと素敵な絵を描いていきたい」と話す。
「究極の理想は、僕の絵を見た人たちが、そこに息遣いや温もりや柔らかさなど命を感じてもらえること。それはリアルな絵を描きたいということではなく、必要最低限の線だけでどこまでそういうものを表現できるかという僕自身の挑戦でもあるんです。“上手い絵”と褒められるより、素敵だと思ってもらえたり、ドキドキときめいてもらえる、そんな絵を描き続けていけたらと思っています」。
日清食品カップヌードル「HUNGRY DAYS」の新シリーズも始まり、窪之内さんの絵を目にする機会は、今後ますます増えそうだ。
窪之内英策展 絵空ゴト
~ぜんぶ、鉛筆とラクガキからはじまった~
会期:開催中、6/16(日)まで
会場:大阪芸術大学 スカイキャンパス(あべのハルカス24F)
時間:11時〜19時 (入場は18時30分まで)
休館:日曜・祝日
入場料:一般:1000円 大学生:800円 中高生:500円
窪之内英策さん
編集協力/大阪芸術大学