「答えのない「問い」は、創造的コミュニケーションを生む触媒【安斎勇樹×前田考歩 後編】」はこちら
前田:世の中の新規事業や新しい取組を行っている方々に、そのプロジェクトがどのような目標を掲げ、その目標に向かってどのように進めているかを、「プ譜」というプロジェクトの構造を可視化するフレームワークで書き起こすというインタビュー企画を行っています。Maasや「CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)」といった概念に代表される大きな変革期にあって、未来プロジェクト室の役割や、ここで行われている「OPEN ROAD PROJECT」について教えていただけますか?
永田:未来プロジェクト室は、技術オリエンデットというよりも生活者目線での新しいサービスの開発を大事にしています。これまではコンセプト提案を中心に行ってきましたが、それだと「提案して終わり」になってしまいがちでした。絵に描いた餅ではなく、自分たちの手で試して、できるだけクイックに回して、可能性がなければ次のプロジェクトに潔く移行する。その中で、芽があるんじゃないか、となればしっかりとした実証実験を仕掛けていく-、ということを行っています。
クイックに試す、ということは、IT業界などでは普通のことかと思いますが、モビリティのように一つの試作を作るのにお金も時間も非常にかかってしまう中では、クイックに、というのはなかなか難しくて。だからこそ未来プロジェクト室のようなコンパクトな組織で、モビリティの開発に留まらず新しいサービス開発をセットで行っていこうと。
そうした大きな目的のなかで始まったのが「OPEN ROAD PROJECT」で、その第一弾がi-Roadという、三輪の新しい都市型モビリティです。第2弾がFrogです。
前田:webサイトには「新しい移動体験をゼロからデザインする」とありました。
永田:トヨタがモビリティ・カンパニーに生まれ変わるんだ、と宣言している中で、従来の四輪のクルマを売って終わり、というビジネスモデルから、もっと従来と違う視点で、人々の生活に溶け込んだ、モビリティを通じた新しい移動手段を提案していこうよ、と。
書籍案内
『予定通り進まないプロジェクトの進め方』
ルーティンではない、すなわち「予定通り進まない」すべての仕事は、プロジェクトであると言うことができます。本書では、それを「管理」するのではなく「編集」するスキルを身につけることによって、成功に導く方法を解き明かします。