役者は勘違いさせてナンボ(ゲスト:三上博史)【前編】

役のリサーチで一番役に立つのは書簡集

澤本:三上さんは自分のことを客観的に見る方なんですか?

三上:そうですね。伝えたいことがはっきりしてるので。伝えたいものをどうやってもってくるか、これは客観的に考えないと届かないんですよね。ぼんやりは考えてるけど、そういう生き方って流れ出ていくんですよね。不思議と。だって、僕は別に営業かけるわけじゃないから。

権八:そうですよね。

三上:話がポーンと来て。それも不思議ですよね。だからそのへんはあまり逆らわないように。なんで今、僕に声が掛かるんだろうと不思議ですよね。

権八:プロデューサーの方なのか、ずっと見てらっしゃるんですよね。『LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て』もいきなり冒頭でローション塗って、おっぱい揉みだして。ソーダの制作部で2人で見てて、気まずいなと(笑)。

三上:いいじゃん(笑)。

権八:その子は「仕事がある」と言ってたんだけど付き合って見てくれて、アレ? と。まぁいいんです。つまり、そういうこともやっていれば、こういう日曜劇場の話もね。これはどういうお話なんですか?

三上:銀行組織の話なんですよ。このご時世、どうやって縮小させようかと。その大作戦を僕が企んでるわけですよね。そこに抹殺されようとする支店があって、そこの人たちが存続をかけて頑張って立て直していく。それを僕がギューギュー潰そうとする(笑)。

権八:悪役だ。

三上:でも正義としてはあるんですよね。結局、本体である銀行がなくなってしまうことが一番不本意なわけですよね。それを存続させるためにはこういう計画をしないといけない、そこは容赦ないよと。僕の正義はあるわけです。だから、頑張るぞー!だけが正義だけじゃないというところで言えば大人も見れるドラマかなと思います。

権八:なるほど、面白そうだな。これは原作があるものですか?

三上:あるようですね。でも僕は読んでません。ずいぶん時間が経った原作なのかな。だから今のご時世、社会が変化していると思うので、相当アレンジしてるかもしれないですね。

澤本:たとえばそういうドラマなり、映画なりで、原作があった場合、原作はあまり読まないですか?

三上:モノによります。ものすごいリサーチするときはします。これまで実在の人物が多かったんですね。野口英世、宮沢賢治、中原中也、そういうときはものすごくリサーチします。あるったけの資料や作品を読んだり。

一番参考になるのは書簡集なんですよね。どの人もリサーチしていて一番面白いのは書簡集で、生の声だったりするんですよ。どんなに著作を読んでもわからないけど、書簡集を読むと一発でわかったり。あぁこういう人なんだと。身内に書いた手紙はこういう出だしで、こういうことを言ってるのねと、参考になります。

澤本:権八もメールが一番出るもんね。優しいんですよ。

権八:そうですか(笑)。ありがとうございます。油断しちゃうのかな。

三上:出るんですよね。たぶんマスに向けてない、そこに向けてるから、その人の人柄が出るんでしょうね。他の余計なことを考えないでいいし。その人だけに向けて、この人だったら勘違いしないだろうなということを前提に書くわけじゃないですか。

澤本:なるほど、書簡集ね。

権八:今回は若手俳優が聞いても勉強になりますね。三上さんはそういうところをリサーチしてるんだと。

三上:いやいや、みんな忙しいから(笑)。俺そういうのが好きなんですよ、時間かけてチクチクやったり。普通リサーチャーに任せちゃうところを自分でやるのが好きなんです。

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