作品を愛してくれるファンはありがたい
権八:初期のものづくりの現場に戻っていきたいという衝動の話がありましたけど、ご自身で監督はされないんですか?
三上:したことないですね。何度もしようとしたことはあるんですけど、やっぱり役者って生み出してはいけないと思ってるんです。何か作品をつくることって、マジシャンがネタ晴らしするようなものじゃないですか。こんなこと考えてるんだ、この人のテイストってこうなんだと、あえてインフォメーションしちゃうことになるんですよ。この役者さんはアイドルの誰々と結婚しました、それだけでも次の仕事は大変なんですよ。権八さんわかるよね(笑)?
権八:何となく(笑)。
三上:そのイメージがついちゃうし。それさえも僕はコントロールしたいんですよね。物語だけ楽しんでもらいたい。それを演じている三上博史はどうでもいい。その物語を、ラブホテルだったらラブホテルの話を楽しんでもらって、あのどうしようもねー奴と。あいつ本当にどうしようもないよねと言ってくれるのがうれしいです。三上博史が無理してやってんだろうね、という見られ方はしたくないんです。
澤本:なるほど。
三上:だから僕ができるだけインフォメーションを出さないでいれば、限りなく物語だけを楽しめるじゃないですか。
権八:ファンですという人は、それはそれでうれしいわけですよね?
三上:難しいよね~。
権八:難しいですか(笑)。
三上:本当に難しいですよね。その作品のファンであってくれるのが一番うれしいけれど。だって何でもよくなっちゃうじゃん。ありがたいですよ。ありがたいけれど、そこで評価されても鵜呑みにできないし、何でもいいのかなと思っちゃうと寂しいですよね。だから、「ファンなんですけど、この作品は好きです、嫌いです」というのはいいですね(笑)。ありがたいです。
権八:名残惜しいんですけど、そろそろお別れの時間が近づいてきておりまして。今後のご予定は平成最後のTBS日曜劇場ですかね。
三上:おー、平成最後か。
権八:そういうキャッチコピーになってますね。『集団左遷‼』。
三上:あまり縁起のいいものではないけど(笑)。
澤本:凄いタイトル。これ平成最後だし、たぶん次の年代の最初でもあるよね。途中、5月で元号は変わっちゃうもんね。
三上:あ、そうか。またがるのかな。凄いですね。やったー! よくわからないけど(笑)。
権八:新元号になっても集団左遷してるということですね。主演の福山雅治さんの最大の宿敵役。終わりに「これやるよ」など言っておきたいことがありましたら。
三上:5月4日の寺山の命日は青森県三沢市の記念館でまた朗読をやります。あとはテレビですね。映画やりたいな。でも全然予定ないですけど。
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