【ヤングカンヌ】PR部門日本代表に返り咲いたポイントを振り返る

TBWA\HAKUHODOのアネーロ関谷(右)です。

アネーロというのは本名ではありませんが、カタカナで目立つから使っています。

世界最大級の広告祭「カンヌライオンズ」。この中で行われる30歳以下のコンペ「ヤングライオンズ(通称ヤングカンヌ)」のPR部門に日本代表として参加することになりました。

ペアの博報堂 谷脇太郎(左)と共に、国内予選から、カンヌでの本戦までのレポートをさせていただきます。(いまカンヌでこの記事を書いています。)

僕たちはヤングカンヌ本戦に参加するのは2回目。ヤングスパイクスも入れて3回目の日本代表となります。(ばちくそ嬉しいいいいいいいいい!!!)

その時のレポートはこちら。
ヤングカンヌPR部門を分析 — 王道のメッセージが選出される傾向
ヤングスパイクスPR部門初代ゴールドは「1ビジュアル・1コピー発想」で勝ち取った #宣伝会議
2年連続で日本代表になってわかった、「勝つ」ための8つのポイント #宣伝会議

後輩からは「さっさと引退しろ」と言われたりしていますが、僕たちはどうしても、もう一度カンヌに挑戦したかったのです。(やっぱ世界一っていいじゃん)

PRはファクトが大事。どうやってファクトを発見するか。

まずは国内予選のレポートをです。

今回のお題は「フェアトレードの認知向上、販売促進」。

PRはメディアが報じたくなるファクトが重要とされています。しかし、みんなが驚くような知られざるファクトは一体どこに転がっているのでしょうか。

僕たちはこれまで、闇雲にネットサーフィンして課題に関連する事実を探していました。しかし、デタラメに探して出会ったファクトは、参加者の多くがたどり着くものです。だから案が被ってしまうようです。

そこで今回は、先に企画やメッセージ、インサイトを考えて、「こんなファクトがあったら良いな」ということを決めてリサーチを開始することにしました。

自分たちを含め生活者は、どれだけコーヒー農家の人の大変な生活を訴えたとしても、正直「高いお金を払う気になんてなれない」と思いました(そもそも海外の農家が過酷な労働を強いられている状況はもう知ってるし)。

だから、生活者が「このコーヒー飲みたい!」というモチベーションをつくる必要があると考えました。

購買意欲を掻き立てられるものを考えている中で、「今まで見向きもしなかった商品でも、販売終了すると聞くと買いたくなる」というインサイトがあることを発見しました。

「フェアトレードが進まないことを理由に、販売終了しそうなコーヒーの銘柄があるんじゃないか?」という仮説を立て、調べてみると、たしかにその状況がありました。

60%のコーヒー豆は絶滅の危機に瀕していて、ブルーマウンテンは10年で80%減少、キリマンジャロは30年で75%減少しているというデータが見つかったのです。

このファクトとインサイトを使い、企画化したのが次のアイデアです。

 
Drink Before It’s Dead!

「無くなる前に飲んじゃおう」というメッセージ。

この企画では、絶滅の危機のあるコーヒーを認定します。

ブルーマウンテンやキリマンジャロなど、有名なコーヒーの銘柄が絶滅危惧種であるということを認定によって知らせ、ニュース化します。

そして店頭では、認定されたフェアトレードのコーヒー豆にDrink Before It’s Dead!のステッカーが貼られます。

生活者は今のうちに飲まなければ、そのコーヒーを飲めなくなってしまうと感じ商品を購入、

そしてフェアトレードの製品の売上が上がると、農家の経営状態が変わり絶滅危惧レベルは下がっていきます。これもニュースとして広がっていきます。

さらに、コーヒーだけでなく、ワインや紅茶でも同様のキャンペーンが可能であるのではと可能性を話し、プレゼンテーションを締めくくりました。

次ページ 「徹底的な質疑応答対策。」へ続く

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