【前回】「上海で開催「CES ASIA」現地レポート① — 中国でも主役は自動車(森 直樹)」はこちら
上海で開催された「CES ASIA」レポート第2弾は、独自の進化で世界の先端を行く中国のテクノロジー事情を筆者が出席したセッションから紹介します。
「CES ASIA」では、モビリティに最も力が入っているようで、HyundaiとAudiの2社が基調講演を行っていました。本レポートではAudiの基調講演を中心に、ドローンや5Gのカンファレンスでの発信について触れたいと思います。
モビリティ体験の未来について語ったAudi
AudiはAudi China Presidentの Thomas Owsianski氏が登壇し、将来のモビリティ体験に関わるテクノロジーとして「Audi CONNECT」、「V2X」、「Holoride」、「Audi AI:ME」の4つが紹介されました。「Audi CONNECT」は次世代のSaaS型のオンラインアプリとデバイスのプラットフォームで、オープンなプラットフォームだそうです。このプラットフォームの機能のひとつとして、ドライバーがガソリン代をオンラインで支払う機能が紹介されていました。
次にV2X(Vehicle-to-Everything)について、Audi ChinaHead V2X Connectivity のMax Yin氏が登壇し、V2Xが、信号機の情報システムと連携し、交通の流れと安全性向上に大きく寄与することを説明していました。さらに、様々なインターネット上の個人情報(行動情報)と連携し、ドライバーの運転計画に必要な情報を与え、音声対話によって、最適なドライブや周辺情報を選択できる世界観も提示しました。筆者の印象では、自動車のダッシュボードが、様々な情報とリンクしたGoogle Calendarと、その情報をもとにした行動のレコメンデーション的な機能を備えた世界観の提示のように感じました。
「Holoride」のプレゼンテーションでは、f HolorideのCEOのNils Wollny氏が登壇。「Holoride」は、運転をしていない同乗者に新しい体験を提供するものであるとの説明がありました。具体的にはリアルタイムに得られる走行データとXRを一体化させることで、乗車体験を超没入型のエンタテインメント体験へ変えるものだといいます。イメージビデオでは、後部座席でVR装置を装着した女性が、自動車の走行情報(加速や停止、移動)に対応して表現されるVRコンテンツ(映像やゲーム)を楽しむ様子を紹介していました。
4つ目の「AI-ME」についてプレゼンテーションをしたのは、Audi China Designer のWu Yunzhou氏。ここではAudiが考える自動運転時代の新しい車内空間の体験について紹介されました。具体的には、自動運転モード時にハンドルが収納されるダッシュボードのコンセプトデザイン、アイトラッキング装置を活用したインターフェース、ノイズキャンセリング機能を搭載した音声システム、車内の空気清浄機、美しい液晶を張り巡らせたダッシュボードなど。これらによって快適な空間を提供できるとの説明がありました。