地方のアートディレクターが自費で行く、はじめてのカンヌライオンズVol.3 散々悔しい思いをしたからあとは楽しむだけだぜ!篇

デザインだけじゃない解説ボードも現地でみるべし

現物のデザインだけでなく、各作品の広告でもある解説ボードや解説ムービーも参考になります。審査員にわかりやすくするため、よりよく作品を魅せるため、他の作品と並んだ時にどういう風に見えるのかなど、部門によって、国によってもボードの雰囲気や解説ムービーの構成からサウンドまで多様にあります。その中でも気になった解説ボードや解説ムービーの一部をご紹介したいと思います。

PUMA SE「The 9’58 Biography/PUMA」(PUBLICIS PIXELPARK, Hamburg+PUBLICIS PIXELPARK, Hamburg)
※DESIGN シルバー受賞

ボルトの2009年100mの世界記録、9.58秒を語った本。224ページのこの本は、それぞれのページがレースのフレームを表しています。

この本の現物もかっこいいのですが、ボードもかっこいい。メインの画像は複数並んでいるのもポイントだと思います。実物のかっこよさを更に押し上げているような印象を受けます。ホワイトとゴールドの紙面を活かすためだと思いますが、黒の本に黒背景を持ってくるこの海外賞っぽさ。好きです。

それぞれのコマの画像も良い。

現物は全ページが上手なのでパラパラ漫画をすると圧倒されます。

北國新聞社/第102回高等学校相撲金沢大会/大会出場校全72校オリジナルの相撲部応援ポスター

高校相撲部金沢大会の応援ポスターですが、ビジュアルの良さはもちろんのこと、僕が惹かれたのはこの作品の解説ムービー。PVをそのまま使用しているのか狙っているのか分からないのですが(弊社の案件ですが、すみません。)、解説という解説はなく、モーションとサウンドでこのビジュアルの世界観を広げているような解説ムービーです。

普通は解説や掲出風景などを入れた説明ムービーを作りがちですが、解説ボードで説明してるからムービーは世界観の拡張、の役割分担が明確でとても参考になります。YouTubeは見つけられなかったので、カンヌライオンズの「The Work」や、検索で是非見てください。

少し話が反れますが、このビジュアルはサーモグラフィも意識して高校生の熱みたいなものを鮮やかに表現しているのだろうと勝手に思っています。

解説ボードはしっかり説明しています。

NETFLIX「Narcos: The Censor’s Cut」
(WUNDERMAN THOMPSON BANGKOK +WUNDERMAN, Bangkok+ J. WALTER THOMPSON BANGKOK THIS IS IT , Bangkok /+CINESOUND, Bangkok)

※OUTDOOR シルバー受賞

タイのテレビやOOHでは不適切な表現は明確にできないため、透明にして掲出したNetflixのOutdoorです。解説ムービーもインパクトがありますが、注目したのは解説ボード。なんと縦型です。

カンヌでは(ルール上?)横型を見かけたのですが、カンヌライオンズの「The Work」を見ると縦型です。ADFESTでも縦型で、感覚的に全体のボードの数点くらいだけが縦型ボードなので、目立っていました。映画のポスターのような解説ボードで、縦型である意味も感じ取れました。

縦型で目立つ解説ボード。

応募もある種のプレゼンテーションなので、応募者目線だと解説ボードや解説ムービーの構成の知見が広がり、次回のエントリー時の糧になると思います。

次ページ 「場外もアツいぞ、カンヌライオンズ!」へ続く

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