見当違いの不満に振り回されていては、何も変えられない
人々の不満を解消することは、大きなビジネスチャンスになります。
しかし、いまあなたが解消しようとしている不満は、真の不満、本質的な不満と言えるものでしょうか? 「お客さまの声」をそのまま真に受けたものではありませんか?
例えば、マクドナルドではかつて健康志向のメニューが無いことへの不満が多く寄せられたことから、「サラダマック」を発売。しかし販売は不振に終わりました。そして、その後に大ヒットしたのは「メガマック」でした。
解消すべき不満は、聞いたら出てくる不満ではないのです。そういった見当はずれの不満ではなく、本質的な不満、真の不満を見つけることが大切です。その本質的な不満を解消することができれば、現状を改善し、大きな変化を起こすことができます。
この「本質的な不満を解消する」という考え方は、ビジネスだけに限らず、人間関係全般にも、そして社会的な問題の解決にも役立てられるのです。
人間関係を例にとって紹介してみましょう。ベストセラー『妻のトリセツ』(黒川伊保子著)でも話題となっている、夫婦の関係についてです。
たとえば男性の立場から考えてみます。夫であるあなたは、妻の機嫌がここのところ良くない、と感じています。何がその原因なのかわからず、この状況を改善したいと考え、何か手立てがないものかと思案しています。
ある時、妻がこのようなことを言っているのを耳にしました。
「私のママ友はパパから結婚記念日にバーキンを買ってもらっているのに、私には何もない」
これこそが解決すべき不満だ、と考えたあなたは、「頑張って貯めたお金で前から欲しがっていたシャネルの白い時計をプレゼントする」という手を打ちました。
その結果、どうなったでしょうか?
プレゼントを渡した時には喜んでくれました。しかし1カ月も経つと不機嫌な態度に逆戻り。夫の悩みは相変わらず解決されず、かけた金額に比べて効果は長続きしない、という残念な結末に陥ってしまいました。