価値を糸口にして、不満を知る
このケースで、問題はどこにあったのでしょうか?それは、夫が不満だと考えたことが、本質的な不満ではなかったということです。では、どうすればその本質的な不満が見つかるのでしょうか?
いきなり「本当の不満は何か?」と直接聞いても、答えることはできません。その手掛かりとなるのが、まず相手が感じている「価値」を知ることです。その価値を糸口にして、不満を明らかにするのです。妻が感じている価値から、どのような不満を感じているのか?を考えれば、本人も意識できていない本質的な不満が明らかになります。
そのために使うのが、お気に入りの価値を糸口にして不満を考えるフレームです。次のフレームを上から順に埋めていけば、不満が見つかります。
一番上の問題には、解決すべきテーマとして「機嫌が悪い妻への対策」と書き入れます。
次のブロックで、「n=1お気に入り事象」と、その価値を考えます。ここでの「n=1」は妻ですから、まず妻が最近気に入っていることを記入します。例えば、最近一週間の間に彼女がやったことで気に入っていることは何か、を書き出します。彼女にそれとなく質問するのもいいでしょう。
ここでは、最近妻がやっていることの中から「家に友人を招いて、得意の手芸を教えている」が気になって、書き入れました。
そして、その「お気に入り事象」に、妻がどのような価値を感じているかを書きます。どんな良さを感じているのか、妻にとってどのようにポジティブな意味があるのか、を想像します。
先ほどの妻への質問の中で、どのようなことが自分にとって良いと感じているのか、も聞いておけば、その価値を考える時の参考になります。
ここでは、「ママ友の間で、自分が大事な存在として扱われる」という価値があると考えました。ここまでで、現在のお気に入りの事象とそれに感じている価値が明らかになりました。
今度は、そのお気に入り事象と価値を糸口として、解決したいテーマに関連する不満は何か?を書きます。その価値からみると、テーマとしていることにはどんな不満があるか?を洞察するのです。ここでは「夫との関係」について妻が感じている不満を、「自分の存在がないがしろにされているように感じる」と書き入れました。
最後に、その不満を解消するためのアイデアを考えます。ここでは「妻の得意なテニスを自分も始めて、教えてもらう」というアイデアを考えました。
書き入れたフレーム全体は次のようになりました。