【ヤングカンヌ】PR部門日本代表が世界一に辿り着いたプレゼン必勝術

ポイント② 本当に実現させるために、企画を売り込む。

続いて、プレゼンの全体のスタンスについてです。「ヤングコンぺは、アイデアが良ければいいんでしょ?」というスタンスの人がいますが、フィジビリティーがなければ、それは企画ではありません。

プレゼンでは、アイデア良いなぁ!と思わせるだけでなく、実現できそう!と審査員に思わせるようにしています。

そのためにどうするか?過去の類似事例をチェックしてみてもいいし、予算を策定してみるのもいい。僕たちの場合は、実際に電話で確認する、という方法をとっていました。

2017年の国内予選のときは、大学病院のドクターに掛け合って、実現可能の言質をとったり、2019年の国内予選のときは、実際にスイスのレッドリストの保全団体に電話をして確認したり。

「この企画、面白いけれど、本当にできるの?」というのは、質疑応答でも定番の質問だったりします。ちなみに、ヤングコンペで勝った案を、本当に実現させて大人カンヌに出した、みたいな事例は、国内外問わず数多くあります。

ポイント③ アイスブレイクを徹底的に考える。

国内予選の場合、プレゼンは夜に行われることが多いです。この場合、審査員たちは現業の仕事を日中に爆速で終わらせて、疲れた頭で10〜20組のプレゼン+質疑応答に延々と対応することになります。本戦の審査員はもっと過酷で、今年のPR部門の場合は、31チームのプレゼン+質疑応答を10時から18時までぶっ通しで行っていました。

要するに、審査員は疲れているわけです。この状況下で、自分たちのプレゼンを頭からちゃんと集中して聞いてもらうために、僕たちはアイスブレイクにかなり力を入れていました。

プレゼンの冒頭、長くても開始20秒以内に、審査員をニヤリとさせる、ちょっとしたくだりを準備すること。別に笑いを取る必要はなくて、ニヤリで十分かと思います。

2019年の国内予選の場合は、アネーロがバリスタの格好をして、コーヒーを持って入室しました。僕が下記のように話している最中に、アネーロがコーヒーを振るまいます。

「Hi! Before we start, we have a little present for you. Since it’s gonna be a long day for judging 10 teams, this barista is gonna give you a cup of coffee. So please drink it, relax, and enjoy our presentation.」
(こんにちは!
プレゼンの前に、ちょっとしたプレゼントがあります。
今日は10チームのプレゼンを聞く長い長い一日になるので、バリスタがコーヒーを1杯用意しました。
これを飲んで、リラックスして、プレゼンを楽しんでください。)

この1分後、ブルーマウンテンが絶滅の危機にあることを話します。そこで種明かしです。

「In fact, you are drinking Blue Mountain right now! Don’t you feel it’s so precious?」
(今まさにあなたはそのブルーマウンテンを飲んでいるんです。
どうです、とっても貴重なものに思えませんか?)

「このコーヒーめっちゃ貴重じゃん!」と審査員に思わせようというのが、僕たちの戦略でした。

2019年の本戦の場合は、もっとシンプルです。アネーロがキャップをかぶって入室して、僕が下記のように口火を切ります。

「Hi! I’m Taro, (I’m Takumi), we are team JAPAN. Before we start, I wanna tell you one thing. Making a PR campaign in 24 hours was such a hard work, that he lost all of his hair.」
(こんにちは!
日本チームの太郎と拓巳です。
プレゼンを始める前に、1つだけ。
24時間でPRキャンペーンを考えるのは本当に大変で、アネーロは髪が全部抜けてしまいました。)

ここでアネーロが帽子を取る。割としっかりとハゲているので、爆笑が起きました。一人は「WOW…!」って言ってました。プレゼンの中でアネーロのセリフは「I’m Takumi」だけでしたが、ハゲ頭による貢献度合いは計り知れません。

ニヤリ、な演出が難しい場合は、自分の話から始めるのもオススメです。TEDでもよく「Let me tell you my story.」で始めてますが、こういう小話はついつい聞きたくなってしまいますよね。

次ページ 「ポイント④ 企画の疑似体験のために、小道具を用意する。」へ続く

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