ポイント④ 企画の疑似体験のために、小道具を用意する。
ヤングカンヌの募集要項に書いてあるとおり、1日で用意できるレベルの小道具であれば、プレゼンで使用することが許されています。僕たちも、小道具はほぼ毎回用意しますが、目的はあくまでも「企画の疑似体験のため」です。
企画を疑似体験すると、企画に接した時の体験者の気持ちが理解できるので、「確かにイラッとしてSNS投稿しちゃうだろうな・・・」「確かにスーパーに買いに行きたくなるな・・・」等、資料後半のPR拡散ストーリーを、より納得しながら聞いてくれると思います。
2019年の国内予選では、前述の通り、プレゼンにコーヒーを持ち込んで、絶滅危惧コーヒーの疑似体験をしてもらいました。
2019年の本戦では、ノーベル晩餐会のアイデアを説明した後、「OK, let’s do it right now!」と言い放ち、アネーロがiPhoneでクラシック音楽をかけ、僕がハットをかぶって再登場。「Welcome to Nobel Banquet!」とアナウンスして、まるでこの場がノーベル晩餐会かのように演出しました。
さらに、事前に出力しておいたディナーコースのメニュー表をアネーロが審査員たちに配っている間に、僕がメニューの説明をして、「Which do you prefer?」と質問を投げかける。審査員たちは、このタイミングだけノーベル晩餐会のゲストになり、どちらのメニューを選ぶか、真剣に考えてくれるわけです。
ちなみにこの手法は、PR部門以外のプレゼンでも有効です。同期のADの市田と参加した2018年のヤングスパイクスDESIGN部門の本戦では、ベビー用品のギフトボックスがテーマだったので、プレゼンまでに実際に箱を作り、本物の商品を入れて審査員に渡しました。
企画書上のイメージ画像だけでなく、実際に手元に置かれると、企画がぐっとリアルなものに思えてくるはず。単純に自分たちのチームを印象づけるためにも、オススメの手法だと思います。
「企画の補足説明のため」に小道具を用意するチームもいると思います。詳しいデータが書かれた紙だったり、企画の構造を図解したボードだったり。間違いではないと思いますが、それらは本来資料に入れ込んだり、プレゼン後の質疑応答で打ち返したりするための材料だと思うので、5分のプレゼンの中で使ってしまうのは少々もったいない気がします。
ポイント⑤ 落とし穴を作る。
5分間のプレゼンが終わると、続いて5分間の質疑応答タイムです。
審査員は口を揃えて言います。プレゼンより、質疑応答の方が重要だと。
本戦は、色んな国の審査員がいて、その職種やバックグラウンドもさまざまなので、あらゆる切り口の質問が飛んできます。それを鮮やかに打ち返すことができないと、審査員としては、自信を持って企画を選ぶことができません。もちろん国内予選においても同じ話で、代表に選出する基準は、いかに予選で優秀だったか、ではなく、本戦で勝てそうかどうか。「このコンビは、本戦でも当意即妙に応答できそう!」と感じさせられれば、代表の座はぐっと近づくはずです。
ここでよく「そんなの英語力じゃん!英語できない自分は無理じゃん!」と言われるのですが、プレゼン力/質疑応答力と、英語力は別物です。なぜなら、プレゼンも質疑応答も、何を話すか、事前に準備ができるから。
プレゼンは当然として、質問はどうやって準備するか?
僕たちが実践していたのは、企画書の中に、詰めが甘い部分や、説明が足りない部分をあえて用意すること。プレゼンを聞いている審査員が「ん?どういうこと?」と疑問に感じてくれれば、それについて質問をしてくるはずです。これを僕たちは「落とし穴」と呼んでいました(審査員の皆様すみません・・・!)。
もちろん、こちら側はその質問の回答をちゃんと準備しているので、淀みなく返答することができます。質疑応答の時間はわずか5分しか用意されていないので、複数の「落とし穴問題」に誘導することができれば、審査員の5分を使い切らせることも可能です。
ここまで5つのポイントを書いてきましたが、あくまでも我流なので、合う・合わないはあるかと思います。「なんか言ってんな〜」くらいで読み進めていただき、使えそうなところだけ参考にしていただければ!
今後、この記事を参考にプレゼンをして代表になり、本戦を勝ち上がってくれたら、それに勝る幸せはないです。その際はぜひ、お祝いの乾杯をさせてください!
関谷“アネーロ”拓巳
TBWA\HAKUHODO アクティベーションプラナー、コピーライター
1989年栃木県生まれ。東北大学大学院卒業後、2014年博報堂へ入社。
2017年よりTBWA\HAKUHODOへ出向。
受賞歴:2016年ヤングカンヌPR部門日本代表、2017年ヤングスパイクスPR部門日本代表/本選GOLD、2019年ヤングカンヌPR部門日本代表/本選GOLD、2017年販促会議コンペティション 審査員個人賞/協賛企業賞、2018年Metro Ad Creative Award メトロアド賞、2018年Date FM ラジオCMコピーコンテスト 佳作
谷脇太郎
博報堂 アクティベーションプラナー、コピーライター
1991年愛媛県生まれ。一橋大学卒業後、2014年博報堂へ入社。
受賞歴:2016年ヤングカンヌPR部門日本代表、2017年ヤングスパイクスPR部門日本代表/本選GOLD、2018年ヤングスパイクスDESIGN部門日本代表/本選GOLD、2019年ヤングカンヌPR部門日本代表/本選GOLD
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