買いたい気持ちは瞬間で起きる — グーグルが提唱「パルス型消費行動」とは?

6月28日、グーグル コンシューマーマーケットインサイトチームは「ショッピングに関する調査」のメディア向けセミナーを開催した。

本セミナーで紹介されたのは「パルス型消費」という現象。24時間すべてが買い物のタイミングであり、空き時間にスマホを操作しながら、瞬間的に買いたい気持ちになり、その瞬間に買い物を終わらせるという「パルス型消費行動」が、現代の日本人に広まっているという調査結果が発表された。

買い物行動への影響

©️Google
グーグルでは、1万人定量に対する定量調査、自宅訪問・買い物立ち合いなどの定性調査を行い、今回のレポートで発表された消費行動を明らかにした。そこからは、上の図で記した3 つのトレンドが見えてきたという。

グーグル マーケットインサイト統括部長(日本・韓国)の小林伸一郎氏は「人々は買う瞬間まで知らなかったブランドを買うことに躊躇がない」「人々は店舗や、ECサイトに行く時点で、どのブランドの商品を買うか決めていない」「人々は暇つぶしにスマホを使って偶然知った商品をその場で買うことに躊躇がない」の3つのトレンドから、「かつてコンビニの登場により、買い物をする『時間的制限(=いつでも)』から開放されたことに匹敵する、買い物をする『場所の自由(=どこからでも)』の獲得という画期的な変化」が起こっていると指摘した。

さらに「私たちは、このような行動を『パルス型消費行動』と名付け、従来のような、一定の時間をかけて買いたい気持ちを醸成させる『ジャーニー型消費行動』とは区別すべきと考えた。注意しなければならないのは、これらの行動が、趣味的な商品に対する非日常的な買い物ではなく、日常的な消費に見られる点。その意味で、従来の“衝動買い”とは一線を画した消費行動と言える」。

こういった行動のスタートは合目的な行動ではないという。スマホ上で偶然行き当たった情報で購買意欲が刺激されてその流れでその場で商品を購入する。この行動の特徴は、そもそも買う意識が無いことから起きるとのことだ。

グーグルでは、この「パルス型消費行動」を捉えるヒントとして6つの直感センサーを提示。そのセンサーとは「セーフティ」「フォーミー」「コストセーブ」「フォロー」「アドベンチャー」「パワーセーブ」の6種類だ。

1. セーフティ:「より安心安全なもの」に反応する直感センサー
2. フォーミー:「より自分にぴったりだと思うもの」に反応する直感センサー
3. コストセーブ:「お得なもの」に反応する直感センサー
4. フォロー:「売れているもの」や、「第三者が推奨するもの」に反応する直感センサー
5. アドベンチャー:「知らなかったもの」や「興味をそそるもの」に反応する直感センサー
6.パワーセーブ:「買い物の労力を減らせること」に反応する直感センサー

「パルス型消費」を促す 6つの直観センサー

©️Google
小林氏は6つの直感センサーについて「これらの直感センサーは、買い物という行動に反応する根源的なセンサーであり、すべて誰でも持っているもの。また、このセンサーは一般的な意味での価値観とは異なる。価値観には一貫性がありますが、直感センサーはいわばヒューリスティックスな感覚であるため、一貫性がない」と説明した。

6つの直感センサー 反応のしやすさ (消費財 + 耐久財)

©️Google

これらの調査結果を踏まえ、マーケットインサイト統括部では企業のマーケテイング担当者は消費者の消費行動の変化を理解したうえで、施策を企画することが重要だと提唱した。

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