SXSWインタラクティブ部門は、黎明期のTwitter が急成長するきっかけになったことや、元Google CEOやFacebook創業者が提携先や買収先を探しに来場したことで話題を集めた。近年もSpace X CEO兼Tesla CEOのイーロン・マスク氏らビックネームが登壇。参加者はカンファレンスやアワード、トレードショーからひらめきを得て事業に生かしている。
「データ・プライバシー」など未来を見据えた社会的なテーマが議論される
インタラクティブ部門は、世界各国のイノベーターや起業家が参加し、自身が次に何の事業をどのような形で仕掛けるべきかを確かめる場として活用されている。カンファレンスでは今後、社会がどのように変化していくかを予測した議論を実施。これまで、「インターネットの父」とされるGoogle副社長のヴィントン・サーフ氏ら社会の理想の未来を自ら描き実現しようとまい進するトップランナーらが登壇してきたセッションは、イノベーターやマーケターにとってヒントを得られる貴重な機会となってきた。
今年はInstagramの共同創設者マイク・クリーガー氏やEthereum共同創設者ジョゼフ・ルービン氏らが参加。米国民主党上院議員エリザベス・ウォーレン氏のセッションでは、GAFAのようなビッグ・テック企業の解体を掲げた。テクノロジー企業大手に対する規制が強くなる中、デジタル課税の施行と来年の大統領選挙が行われる。新大統領が掲げるマニフェストが、ビッグ・テックの経済活動や世界のビジネスにどのような影響を与えるか注視したい。
またシリコンバレーの有名投資家ロジャー・マクナミー氏のセッションでは、「今年をデータ・プライバシー元年にしたい」との発言があり、データ経済と個人のプライバシーの理想を考えてほしいと訴えた。さらにデータ・プライバシーの制度について「欧州は米国の10年先を進んでいる」と発言し、約2000名の聴講者を驚かせた。社会を変えていくビッグネームの登壇者が思い描く未来を直接、聞くことのできるカンファレンスとなった。
アフラックの「My Special Aflac Duck™」がPeople’s Choice Awardを受賞
SXSWでは優れた新規事業を評価するインタラクティブイノベーションアワードが発表される。
その中でも、来場者が選出するPeople’s Choice Awardでは、アフラックの企業キャラクターの電動ぬいぐるみ「My Special Aflac Duck™」が選ばれた。遊びとして使用できるだけでなく、自分の代わりに喜怒哀楽の感情表現をさせることができるもので、小児がん患者の子どもたちのためにつくられた。闘病生活の中で友だちや娯楽から孤立してしまいがちな子どもたちには心のケアが重要となるが、保険の領域以外に何かできることはないかという思いが原点になった。
アフラックは「まだ局地的な取り組みだが、これから全米に展開していきたい」と意欲を見せる。プロトタイプが社会をどのようにより良くできるのかが、来場者の心を動かした結果となった。