【前回】「#SXSW2019日本から世界に挑む!日系企業出展事例③:東芝」はこちら
今回は、SXSWインタラクティブ部門のトレードショーに出展した日系企業の中から、シチズン時計を紹介する。
シチズン時計
自社初のプラットフォームを出展 想定し得なかった活用提案も
昨年創業100周年を迎えたシチズン時計は、IoTプラットフォーム「Riiiver」と、それに連携する腕時計を展示。「Riiiver」は、1月21日にティザーサイトをオープンした。公開から間もないプラットフォームの方向性も含めてプロダクトへのフィードバックを得たいと考え、今回初となるSXSWへの出展を決めた。
数あるテクノロジーの出展イベントからSXSWを選択した理由について、同社 営業統括本部 宣伝部PR課 村本甲亮氏は「ほかの出展イベントであれば、完成品を出さなければならないことが多い。しかし『Riiiver』にはまだまだ改善の余地があると考えているため、今後の開発に生かせるフィードバックが得られるSXSWを選んだ」と述べる。
「Riiiver」は、スマートフォンと連携する腕時計を起点として、趣味や生活に役立つ機能を個人でカスタマイズできるプラットフォーム。「Riiiver」にはさまざまなIoT機器やサービスがつながっており、例えば時計のボタンを押すとNBAの試合結果を針で示す、ジョギングで10km進むと流している音楽のプレイリストを変更するといったように、起動のきっかけとなる条件(トリガー)、起動させる機能(サービス)、起こす動作(アクション)の3つを組み合わせることで、自分好みに機能を設定できる。
スマートウォッチには競合も多いが、「Riiiver」の特徴は、プログラミングができない一般の人でも新たな機能を作成できること。作成したオリジナルの機能は、名前を付けてシェアすることも可能だ。「趣味嗜好は人によって異なり、実装した機能がすべて喜ばれるわけではない。それならば、個人で好きなようにカスタマイズしてもらうのがいいのではないかと考えた」と、村本氏は開発意図を話す。「Riiiver」を育ててもらい、次の開発につながるヒントを得る狙いもあるという。
SXSWでの反響は大多数がポジティブなもので、手ごたえを感じているという。アメリカの飲食業界の関係者からは、従業員の労働時間を管理するソリューションとして活用できれば、過酷な労働環境の改善につながるかもしれないとのフィードバックもあった。「こちらが想定しえなかったユースケースを提示してもらえた。持ち帰って社内でシェアし、次の開発に生かしたい」(村本氏)。
SXSWでの展示を通し、リードも獲得。日本のメディアやビジネスパートナーになりそうな企業とも情報交換ができたため、今後も情報提供を継続しながら、日本国内で改めて交流の場を設けたいという。