パーソナライゼーション時代にメディアがとるべきマーケティング戦略
50年以上前、当時のメディア学者だったマクルーハンの言葉に、「活字文化が作った近代が、電子メディアによって現代に移行すると、活字文化が滅ぼしたそれ以前の世界が復活すると述べている」というものがある。(月刊「事業構想」2014年11月号・朝日新聞社の服部氏原稿より引用)。事実、村の噂話に端を発した村八分という習慣がSNSでの炎上という現象に置き変わったり、物々交換がネットオークションやC2C型のモノや情報の売買という形で現出したりしている。
メディア環境の変化を分析する際には単純に何かが消えて、何かが現れるという単純な思考ではなく、メディアが置かれているマクロ環境と人の中に存在する情報消費インサイトを双方相照らし合わせて業界の変化を注視していかなくては、その動向を見誤ることになりかねない。
今、その動向の中でもっとも重要なキーワードの一つが「パーソナライゼーション」である。消費者のメディア接触、購買行動、物理的な行動までもがデータで補足されパーソナライゼーションが加速する中で、従来「マス」を意識していたメディアがもっともパーソナライゼーション革命に関しては臆病なのかもしれない。このパーソナライゼーション時代にメディアはどのようなマーケティング戦略をとるべきなのか。
それらを考えるうえで、PwC Strategy&のメディア関連企業へのプロジェクトを通じた経験から、以下の4つの切り口をベースとして広く視座を持ち環境を分析し、将来に向けての示唆を出していくことが重要であると考える。パーソナライゼーションというキーワードを強く意識しつつ、まずはこの4つの切り口に沿って分析を始めたい。
その切り口とは、
1 コンテンツ
2 顧客体験
3 ディストリビューション
4 マネタイズ
以下、この4つの切り口の重要性と日本における位置づけをまずは概説したい。