【前回】「#SXSW2019視察研修参加レポート①:アイデア創出のノウハウを体得」はこちら
本視察研修「Innovation Boot Camp in Texas」に参加した3名のレポートを紹介。本記事では、ytvメディアデザイン CMO 山畑健太郎氏のレポートを掲載する。
業界の枠を超えた事業の多角化が、ビジネスの成長につながる
大阪のローカルテレビ局である読売テレビの子会社で、同局のデジタル事業を手掛けるytvメディアデザインに出向し、関西に住む女性を主なターゲットとしたウェブメディア「anna(アンナ)」を運営しています。
視察研修には、テクノロジーをはじめとする世界的なトレンドをキャッチアップしたいと参加。なかでも、テレビ局があまり得意としていないマーケティングやブランディング、ウェブにおけるメディアビジネス、先進技術であるブロックチェーンの3つのテーマに注目しました。
印象に残っているのは、R/GAの企業視察。同社は広告会社でありながら広告制作による売り上げが少なく、事業コンサルティングやプロダクト開発を行うことによって急成長を遂げています。
視察を通して感じたのは、メディアビジネスも多様化が必要であるということ。テレビ局だからテレビCMを売らなければならない、良い番組をつくらなければならないとばかり考えがちですが、テレビ局がその枠を超えてCM制作やWebサイトの制作ディレクションを行ってもよいのではないかと考えることができました。
テレビへの信頼性をマーケティングに
SXSWのさまざまなセッションに参加するなかで、大きなテーマとなっていたのは「共感」です。共感につなげるためには、ストーリーテリングが重要だという話も多くありました。アメリカの大手メディア出身の記者が手がける新興メディアでは、耳から伝えるメッセージは信頼性が高いと考えていることから、ストーリーテリングを行ううえでポッドキャストを利用しているそうです。
日本では、テレビ局が発信する情報にも高い信頼性があります。「anna」も読売テレビでテレビCMを放映しており、一般の視聴者の方はもちろんクライアントさんからも反響をいただくことから、僕たちが持っているリソースの中でも地上波放送は特に認知の獲得に強いと感じています。ブランディングを行うためのツールとしても使えるので、デジタルであってもいかに読売テレビのブランドを生かせるかが重要だと思いました。
今後の展開として、やはり事業の多様化や収益の多角化は重要なカギです。リソースが限られたローカルメディアではできないこともありますが、「anna」は関西のメディアだからと縮こまっていても仕方ありません。例えば記事を英語化し、日本への旅行を計画している外国人にも活用してもらうなど、幅広い展開を考えたいと思っています。
山畑健太郎氏
ytvメディアデザイン
CMO