「多数の意見」だけを見ていると、本質をとらえた不満は見えてこない
今回、注目したのは、「日本の農業従事者の減少を食い止める」という課題にどのように対応するか、というテーマです。
農業に従事する人の数が減少していることは日本において長年の問題でした。農林水産省の「農業構造動態調査」では、全国の農業経営体数は平成20年に180万4000経営体だったのが、平成30年には122万500経営体になっています。特に、高齢化が進む中、若年層の農業の担い手が減っていることがクローズアップされてきました。若い人に農業をどうやってアピールして、やってみたいと思ってくれる人を増やすか?がテーマになっていたのです。
しかし、日本の農業政策は、あまりうまくいっているとは言えませんでした。行政が政策を考える上で着目したのは、まず「農業は儲からない。だからやりたくない」という声。この声に応えようとしたのが、「補助金をつける」という施策です。しかし、この施策によって新規の農業従事者が大幅に増えた、ということは起きませんでした。