インサイトはSDGsにも応用可能? 社会問題解決にも有効な「本質的な不満」の見つけ方

「多数の意見」だけを見ていると、本質をとらえた不満は見えてこない

今回、注目したのは、「日本の農業従事者の減少を食い止める」という課題にどのように対応するか、というテーマです。

農業に従事する人の数が減少していることは日本において長年の問題でした。農林水産省の「農業構造動態調査」では、全国の農業経営体数は平成20年に180万4000経営体だったのが、平成30年には122万500経営体になっています。特に、高齢化が進む中、若年層の農業の担い手が減っていることがクローズアップされてきました。若い人に農業をどうやってアピールして、やってみたいと思ってくれる人を増やすか?がテーマになっていたのです。

しかし、日本の農業政策は、あまりうまくいっているとは言えませんでした。行政が政策を考える上で着目したのは、まず「農業は儲からない。だからやりたくない」という声。この声に応えようとしたのが、「補助金をつける」という施策です。しかし、この施策によって新規の農業従事者が大幅に増えた、ということは起きませんでした。

次ページ 「「n=1」の価値を糸口にすれば、本質的な不満を探り出せる」へ続く

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大松 孝弘(株式会社デコム 代表取締役)
大松 孝弘(株式会社デコム 代表取締役)

大手広告会社を経て、2002年デコムを創業。2006年に日本初のインサイトリサーチに関する書籍「図解やさしくわかるイ ンサイトマーケティング」を上梓する。株式会社デコムは、設立以来、一貫してインサイトリサーチによるアイデア開発を提供。近著に『「欲しい」の本質~人を動かす隠れた心理「インサイト」の見つけ方~』など。

大松 孝弘(株式会社デコム 代表取締役)

大手広告会社を経て、2002年デコムを創業。2006年に日本初のインサイトリサーチに関する書籍「図解やさしくわかるイ ンサイトマーケティング」を上梓する。株式会社デコムは、設立以来、一貫してインサイトリサーチによるアイデア開発を提供。近著に『「欲しい」の本質~人を動かす隠れた心理「インサイト」の見つけ方~』など。

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