【前回】「#SXSW2019視察研修参加レポート②:メディアビジネスの可能性に開眼」はこちら
本視察研修「Innovation Boot Camp in Texas」に参加した3名のレポートを紹介。本記事では、サインコサイン代表取締役CEO 加来幸樹氏のレポートを掲載する。
大手ブランドとスタートアップが対等に補い合い、イノベーションが生まれる
2018年4月にセプテーニの社内ベンチャーとしてサインコサインを設立し、ブランドデザインなどを行っています。
今回初めての視察研修参加に踏みきった理由のひとつには、今後グローバルに対応していかなければならないとの思いがありました。ブランドデザインは、言葉さえ通じれば海外のクライアントを相手にすることもできる仕事です。また既存のクライアントからは、グローバルへの展開も見据えてブランドアイデンティティを構築したいとご要望いただくことも増えました。
もうひとつは、今回の企業視察の訪問先であるR/GAに興味を惹かれたからでした。広告会社の既存のビジネスモデルに限界を感じるなかで、他社とビジネスを共創しながら、数年おきにメインビジネスを転換して成長している同社のモデルを参考にしたいと思ったのです。
対等であることが、相乗効果を生みだす
視察研修全体を通して印象に残ったのは、「インタラクティブ」という言葉。日本語ではよく「相互的」と訳されますが、さらに理解が深まり、「対等であること」なのだと思いました。
例えば日本では、既存事業と新規事業が切り離されて考えられることが多いと感じますが、R/GAはもともと持っていた広告制作会社としてのノウハウと、投資先のスタートアップが持つリソースの両方をバランスよく生かしながら、ブランド体験をデザインしていました。
SXSWのカンファレンスでは登壇者とスピーカー、ブースの出展者と来場者など、参加者全員が対等であることを感じました。出展者に話を伺うと、来場者から良いアイデアやアドバイスをもらったと話します。来場者は改善点などのポジティブなフィードバックを行うのです。出展者はそこで得られたフィードバックを参考に、新事業を進めるか、ピポットすべきかを考えることができます。
視察研修を終えて帰国し、日本にはまだR/GAのように大手ブランドとスタートアップがノウハウを補い合い、新たなイノベーションを起こす機会が少ないと感じました。僕自身は大手ブランドのリブランディングを手がけることもあれば、スタートアップに対してネーミングを考えることもあります。今後は、どちらにも接点があることを強みに、相乗効果によるイノベーションを起こしていけたらと考えています。
また、参加者全員が対等なイベントだからこそ、出展者としても参加してみたいと感じました。
加来幸樹氏
サインコサイン
代表取締役CEO