10年間勤めたテレビ朝日を辞めた理由(ゲスト:宇賀なつみ)【前編】

10年間勤めたテレビ朝日を辞めた理由

宇賀:10年で天気、スポーツ、報道、情報、ワイドショー、バラエティなど、やわらかいのから堅い池上さんの番組みたいなものまでやらせていただいて。ロケもインタビューもいっぱい行ったし、何となくここで外に出ないと、10年先、20年先、自分がどのぐらいのお給料をもらっているかとか全部わかっちゃうなと思ったときに、それでは面白くないと思ってしまったんですよね。

外に出たからこそ、今こうやってラジオのお仕事もできてるし、きっとまた面白いことが起きるんじゃないかなと、前向きなワクワク感で。

中村:アナウンサーの方はフリーになってもアナウンサーの事務所に所属される方が結構いらっしゃるんですけど、宇賀さんは完全フリーランス。ご自分で会社を立ち上げられてるんですよね。

宇賀:アナウンサーであってもなくても、大学生のときからフリーランスで働くことに憧れはずっとあって。でも何をしていいかわからなかったんですよね。

10年間、テレビ朝日でお仕事をさせてもらったことで、何ができるかがわかってきたので、やっぱりそれはチャンスだなと思いましたし、どうせ大きな組織を離れるのであれば、また大きな組織に所属してしまったら一緒かなというのもあって。1人で経理的なことや総務的なこともやって、ビジネスのスキルもちょっとずつつけていかないと、一生出役でいることはできないと思うので、厳しいかなと。

今は完全個人だからこそ、「SUNDAY’S POST」でも、来週軽井沢行こう、次山口行こう、と急にロケに出ることがあるんですけど、それも自分さえ空いていれば、「じゃあ行きます」と言えるじゃないですか。事務所、マネージャーを通してというのとは違うスピード感もよくて。大変なんですけど、大変なことを面白がりたいと思ってます。

権八:面白いね。

宇賀:だから請求書も自分で書いてます。いろいろなお話をいただくなかで断らないといけないことのほうが多いんですけど、その断り方も失敗しながらも学んでいく感じがしてますね。そういう1つひとつを自分で組み立てていく面白さを感じています。

中村:めちゃくちゃ偉いですね。

権八:でも、それは辞めてみるまではわからないことじゃないですか。

宇賀:全然わからなかったです。局員時代は自分でお仕事も選べなかったですし、選ばれた中で自分の意見を言える場面もありましたけど、今は完全に自分の責任なので、良いことも悪いことも自分のせいなんですよ。誰のせいにもできない。その状況に1回、身を置いてみたかったんですよね。

中村:自分の成長戦略も全部自分で考えていかないといけなかったりするじゃないですか?

宇賀:それは全く考えてないです。たぶん事務所だと売らないといけないから考えるんでしょうね。人を育てる、面倒を見るって凄く労力のかかることなので、雇われる側も、それにお応えしないといけないじゃないですか。それを全部なしにしてみたかったというか、単純に仕事の大きい小さい、ギャラの高い低いじゃなくて、やりたいことだけやった結果どうなるのかを実験してみたいと思ってるんですよね。

権八:かっこいい。なんでそんな風に思えるんですか? 立派ですよね。

宇賀:立派じゃないですよ、全然。

中村:じつはね、ちょうど権八さんもつい最近、株式会社ゴンパとして、ようやく羽ばたかれて。おめでとうございます。ここまでにいろいろな逡巡があったんじゃないですか?

権八:ありました、やっぱり。

中村:電通からシンガタという超イケてるブティックに移って、何年やられました?

権八:16年。そこから辞めるときどうしようかなと考えたりしたけど。まぁ選択肢はいっぱいあるんですけど、宇賀さんと同じように今は、1人ぼっちでやってます。

中村:宇賀さんも1人になってからは料金交渉もご自分で考えないといけなくて。

宇賀:交渉という交渉はしてないですけどね。全部、言い値というか。はい、わかりましたっていう。

中村:じゃあ、自分がやりたいことかどうかを大事にしてるんですね。

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