東京2020組織委員会は8月25日、東京2020パラリンピックのメダルデザインを発表した。公募により決定したもので、博報堂プロダクツ プレミアム事業本部プロダクトデザイン部プロダクトデザインチーム デザイナーの松本早紀子氏によるデザインが選ばれた。
デザインの選定はオリンピック同様、一般公募から選出。214点の中から、文化庁長官で自身も金工作家の宮田亮平氏を座長とする審査会メンバーが、選考にあたった。
当日都内で行われた、「東京2020パラリンピック1年前セレモニー」内で初めてお披露目となったメダルのデザインモチーフは“扇”。扇を束ねる“要”をアスリートに重ね、そこから放射状に日本の自然、岩・花・木・葉・水のリリーフがあしらわれている。
「日本らしさと誰でも手に取って分かるデザインにこだわった。」と松本氏。扇面の凹凸や、「TOKYO2020」の点字表記、自然風景の描写にはそれぞれ異なる加工が施されるなど、触れたときの質感にも多くの工夫がなされている。また、大会で初めて、側面に金銀銅の違いを表現。ユニバーサルデザインにこだわったデザインにした。
セレモニー当日は松本氏が、デザインのコンセプトについて語った。コンセプトワードにあげたのは、「世界に吹き込む“風”」「人々を束ねる“要”」「生命力」の3点。
「世界に吹き込む“風”」は、“扇”というモチーフで表現。アスリートの影響力、日本らしさを表した。「人々を束ねる“要”」は、人々の心を人種や国境を越えて1つに束ねてくれるアスリート自身を表現。また、アスリートに向けられる全世界の視線も表している。「生命力」は、応援したいという市民のエネルギーや、アスリートの熱意を自然の写実的なリリーフで表現した。
松本氏は、「自分のデザインに決まったと電話をもらった時は、状況が受け止められないくらい驚きました。デザイナーとして歴史的な大会に携わることができ、大変ありがたく、光栄に思います。このメダルが選手と人々の心をつなぎ、新たな風を生み出す原動力になれば嬉しい」とコメントした。
選考審査会で座長を務めた宮田氏は、「日本が誇る“和”の美しさと伝統的な金属造形を結集し、素晴らしいものが完成しました。また、今回はメダルケースも制作。持ち運び用の袋もつけるなど、日本の“おもてなし”の心が詰まっている。アスリートの方に感じていただければ嬉しい」と語った。