セールスとクリエイティブを統合した「ブランド」の役割 広告の歴史を学ぶ その④

アカウントプランニングがもたらした広告の「自由」

これに加えてフェルドウィックによれば、スティーブン・キングがもたらした広告における貢献は、これまで「広告はセールスが目的」というひとつの形しかなかったものに、「即時性(immediacy)の尺度」を加えて、メールオーダー型のダイレクトレスポンスは、すぐさま行動を起こさせるもの、ブランドイメージ型の広告はユーザーのブランドに対するポジティブな態度を強化してゆっくりと機能するもの、といったように、その種類を分けたことです。

そしてこの見解は、キングに先んじて1963年に『How to Become an Advertising Man(邦訳 広告マンバイブル)』を記したJWTのジェームズ・ウェブ・ヤングによって、広告のいくつかの機能として提示していたものと同様でした。

そして、このいくつかの機能がその広告の果たすべき役割によって、複数またがって現れるというのが、キングとヤングの両者の見解でした。この考えは「広告はセールス」であるという単一的な見方に対する、アカウントプランニングがもたらした広告をつくるうえでの柔軟性であり自由だったのです。

あわせて英国においてアカウントプランニングは、1980年に広告実務者研究所の広告効果賞(Institute of Practitioners in Advertising、通称IPAのAdvertising Effectiveness Awards)を生み出し、広告によるビジネスの結果について検証するという世界でも珍しい事例研究を行っています。

これまで広告業界では、広告の効果測定は広告認知やブランドイメージなどの中間指標のみで、具体的なビジネスの結果については測定不可能であるというのが常識でした。その意味でもアカウントプランニングのアプローチは大きな影響を与えることになったのです。

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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