最適なコピーを「選ぶ」ことができなければ、書いていないのと同じ
コピーライティングで重要なスキルはなんだと思いますか? たくさんあると思いますが、とても大切な力の一つが「選ぶ力」です。発想力豊かにたくさんいいコピーを思いつけたとしても、その中かから1つ「最も優れたコピー」を判断できる目がないと意味がありません。
つまり、何十本も何百本もコピーを書いて、その中に効果絶大なコピーがあったとしても、そのコピーを選ぶことができないと、いいコピーを書いていないのと同じことなのです。「新人コピーライターのいいコピーは、ゴミ箱の中にある」とよく言われますが、これは選ぶ力が備わっていないからです。なんとなく耳障りがいい言葉を選んでしまい、本当にいいコピーに気づかずゴミ箱に捨ててしまうのです。
世の中の広告コピー関連本のほとんどが「書き方」をテーマにしているのに対し、本書のテーマは「選び方」です。広告コピーを書くということは、言葉を「ひねり出す」という作業の後に、最適な言葉を「見つける」プロセスを経る必要があります。書いたコピーをすべてクライアントに渡し、「どれがいいですか?」と聞くことはできません。自分で答えを見つけなければいけないのです。
いいコピーライターは「いいコピーを選べるコピーライター」
しかしながら広告コピーには、いつも正解があるわけではありません。時代や社会の状況、受け手の気持ちによって、効果の出るコピーは変わってきます。「こういうときは○○を選べ」というような基準などはありません。
本書には、広告コピーを見極めるときに悩むべきポイントや、想像しておくべきことがまとめられています。
「自分のコピーに意地悪なツッコミを」「コピーを外まで持っていく」など、小見出しの一つ一つが、著者・中村禎さんのコピーに対するアプローチになっており、まさに読んで使える1冊です。
「いいコピーライター」とは、実は「いいコピーが選べるコピーライター」です。この本が、どのコピーがいいコピーなのかいつも迷ってしまう人の道しるべになってくれることでしょう。
<紹介した書籍>
『最も伝わる言葉を選び抜くコピーライターの思考法』
著:中村禎
価格:1700円+税
ISBN:978-4-88335-391-0