講師:フラクタ ブランドストラテジックプランナー
「ブランディングスクール」はフラクタと宣伝会議が共催する、企業コミュニケーションに携わる担当者向けのセミナー。実践形式のワークショップを交えながら、フラクタに所属するブランディングの専門家がテーマごとに講義を実施するプログラムとなっている。
ブランドを明確にするには?
第一部では、フラクタの村中花梨氏が登壇。「ブランドを明確にするポイント」とは何かをレクチャーした。
まず「ブランディング」の定義について、村中氏は「人々に、その企業や商品、サービスなどのイメージを想起してもらうための行為のこと」と説明。なおかつ「ビジネスを展開する上で、利益を上げて生き残るための方策のひとつ」とした。特に情報過多の時代において、人々の頭の中にイメージを形成してもらうことは非常に難しい。よって、ブランドにとって“大切なこと”を顧客とのあらゆる接点で繰り返し伝えていくことが重要になる。
「その際に企業内で起きがちなのが、インターナルブランディングをおざなりにしてしまうこと。ブランドにとって大切なこと(コア)を抽出したら、まずはインターナル(社内)からエクスターナル(社外)に広げていくという流れを意識してほしい。部署間の連携も必要」とアドバイスした(図1)。
では、ブランドにとって“大切なこと”、つまりブランドの存在意義を決めるためのポイントとは。それは顧客との「信頼関係」にあると村中氏は言う。「ブランディングは“自分たちがどうありたいか”を表現してしまいがち。むしろ、そのブランドのどんな要素を顧客が信頼してくれるのかを捉え、見極めることが重要。そこには感情的なつながりが生まれているので、強いブランドを構築することができます」。
この“大切なこと(コア)”の抽出のためのひとつの手段が、部署や組織を横断して開催するワークショップだ。続く第二部では、そのブランドから連想されるキーワードを抽出するワークショップ体験なども含め、抽象的になりやすいブランドをより具体化する流れについて解説した。
ブランドの「具体化」を体感
第二部では「抽象的なブランドを具体的にする~自社ブランドの『言語化』と『視覚化』~」をテーマに、フラクタの狩野雄氏が講師を務めた。
狩野氏はまず、著名ブランドや海外の新興D2C(消費者への直販)ブランドの例などを挙げながら、抽象的になりやすいブランドのオリジナリティを一貫して伝えることの重要性を示した。
そのメリットはコミュニケーションがシンプルになること、そして「もっと貢献したい・応援したい」という深い思いを持つファンを獲得できることにある。そのためには、ブランドを具体化する工程が不可欠だ。フラクタでは土屋鞄製造所などのブランディングを手がけているが、いずれも社内で「具体化」の工程を経て実現したものだ。
「これらの作業は手間がかかるが、その先の効率的なコミュニケーションを実現することにもつながる。ワークショップを通じて、その工程を少しでも体感してほしい。今は国が“デザイン経営”を提唱しているように、5年以内にはブランドを言語化、視覚化していく作業を重視する思考へと変化していくはずです」。
さらに今回のスクールでは、「東京(の魅力)」をテーマにワークショップを実施。3~4人のグループごとに「東京=○○○な街である」という考えを45分間でまとめるという内容だ。「正解を求めるのではなく、意見を出すことが重要。
組織内で実施する場合は
1. 職能・精度は気にしない
2. 赤裸々に、自分の意見も交えて
3. 気後れしない、遠慮しない
という3点を意識して進めることをおすすめします」と話し、終盤にはグループごとに言語化・視覚化した成果を発表した。参加者らにとって「一見すると手間がかかる、ブランドの言語化と視覚化の作業は絶対に必要なこと」という感覚を体感するワークショップとなった。
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