取るべき利活用の方針は顧客起点で考えれば見えてくる
日本においても急速にキャッシュレス決済が浸透する中、それに伴い取得できる消費者データが増加。これまでデータの取得が難しかったオフラインのチャネルでもデータ収集が可能になったことで、データ活用戦略も新たなフェーズを迎えている。
本カンファレンスでは、いま求められるデータ利活用戦略について官民さまざまな登壇者が講演を行った。
カンファレンス内のパネルディスカッションでは、TISの秋野隆氏をモデレーターに、キャッシュレス決済やデジタル施策、個人情報データの利活用で顧客体験を向上させようと取り組む3社からパネリストを招き、議論した。まず各社からデータ利活用の戦略について紹介があった。
1号店の開業から今年で50周年を迎えるパルコの林直孝氏は、2014年にローンチしたアプリ「ポケットパルコ」を紹介。来店前、中、後の行動をログ化し、パーソナライズした情報を提供する取り組みを実施していると話した。またファミリーマートの植野大輔氏は、同社においてデジタル化の推進は今年度の事業計画における4つの挑戦のひとつで、力を入れている項目だと話した。
日本ケンタッキー・フライド・チキンの小山典孝氏は、「目的買いのお客さまが多いのが当社の特徴。来店前のタッチポイントを増やすことで顧客の『買いたい』という目的をつくり、店舗での購買体験とつなぐことでリピートしてもらうサイクルの構築を進めている」と語った。
企業が取得できる顧客データは増加しているが、その全てが有用というわけではない。林氏は「データは整理されて活用できる状態になって初めて有用になる」と指摘。また「アプリに登録する個人情報として、『住所』はかつて郵送でDMを送るために必要だったが、今は郵送以外の情報伝達手段があるので必ずしも必要とはいえない情報。形骸化させずに、時代に応じた情報の取捨選択は常に考えなければならない」とも話した。
顧客データを扱うにあたっては、セキュリティ面のリスク管理も課題となる。植野氏は「ユーザビリティとセキュリティはトレードオフの関係になりがち。企業としては売上や実績を優先してしまう傾向にあるが、謙虚にお客さまを守る意識を持つことが大事」と話した。
小山氏も「セキュリティを高めることで顧客の利便性を下げてしまうことも、リスクのひとつ。だが、そのリスクをどこまで受け入れられるのか、何が優先であるかを考え、取得する個人情報データを取捨選択して、サービスをお客さまにとって良いものにしていくことが必要」と指摘した。
林氏は「『データの利活用』と聞くと難しく考えがちだが、顧客視点に立って、どうすれば顧客に役に立てるのかを考えれば、自ずとアイデアも出てくる。『顧客視点』というキーワードが重要」と話し、パネルディスカッションを締めくくった。
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