プロモーションの領域を再定義し、「新しい価値」を提供するために 『プロモーショナル・マーケティング ベーシック』(後編)

新しいプロモーション手法を新しい視点で体系的に網羅

―そのほかの改訂ポイントについても教えてください。

宮久:第2章の「プロモーション手法の計画と展開」、第3章の「プロモーション・ツール&メディア」は、今の時代に合わせて完全にアップデートしました。デジタル化によって、この10年の間に新しい手法やメディアがたくさん出てきました。それを最新のものに更新して、整理の仕方もアップデートしました。

―整理の仕方。

宮久:新しい視点による分類の名称変更のことです。これまで「試用手法」と言っていたのを「体験プロモーション」と言い換えました。これは先ほど申し上げた、体験が重要になっているプロモーション・プランニングの潮流と軌を一にしています。

旧版の「試用手法」では、例えば駅前で試供品をサンプリングすることなどを想定していました。もちろんそういった手法は今でもあるのですが、それだけではなくて、「モニタリング」「デモンストレーション」「ポップアップストア」のように、まさに「RsEsPs(レップス)モデル」の体験(Experience)フェーズに適応するプロモーションをこの分類の中に入れています。

保田:さらにこの「体験プロモーション」も、大きく「トライアル型」と「共感獲得型」の二つに分けています。「トライアル型」では、ブランドに直接触れてもらうことで体験価値を伝える。「共感獲得型」ではさらに感情を揺さぶり、商品への共感を獲得するところまでを目標にする。これをさらに、認識フェーズ、購買フェーズの施策と組み合わせてプロモーション・シナリオを作っていく。

―第3章の「ツール&メディア」では、インターネット広告のところが全面的に書き換えになっていますね。

保田:単純なバナー広告から、動画広告や検索連動型広告まで、まずはどんな手法があるのかを一通り俯瞰して頭に入れておくことが必要ではないかと。活用するのはその後。「RsEsPs(レップス)モデル」につながる基礎知識の部分です。

先ほど出てきたサンプリング一つとっても、今はWeb上でクイズに参加させるやり方もあります。ツール&メディアが多種多様になり、キャンペーンの仕掛けの幅も広がりましたが、ベースは「RsEsPs(レップス)モデル」に当てはめて考えていけば良いと思います。

次ページ 「激動の時代を迎えているプロモーション業界を生き抜くために」へ続く

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