経済広報センターは9月3日、第35回「企業広報賞」の表彰式を都内で開催した。「企業広報大賞」のクボタのほか、ユニ・チャーム、大垣共立銀行、ダイキン工業、サントリーホールディングスの経営トップや広報責任者らが登壇した。
「企業広報大賞」に選ばれたクボタは、「事業そのものが社会貢献」を企業メッセージに掲げ、全部門が一丸となった情報発信を行っている。2018年には農業を題材としたテレビドラマ『下町ロケット』(TBS)へ全面協力。これらの活動を通じて、「日本農業の活性化」という社会全体の課題解決に貢献したことが評価されての受賞となった。
登壇したクボタの木股昌俊社長は「農業機械、建設機械といった地道な仕事を評価いただいた。これらの事業への貢献はSDGsへの貢献にもなる。今後も最も社会に貢献するグローバルメジャーブランドを目指したい」と語り、創業130年を迎える2020年を見据えた。
Think Global、Act Japaneseの精神
「企業広報経営者賞」には、ユニ・チャーム 代表取締役社長執行役員の高原豪久氏と大垣共立銀行 代表取締役会長の土屋嶢氏が選出された。両者とも、積極的にメディアとのコミュニケーションを行い、丁寧でオープンな姿勢が報道関係者から高い評価を受けていることが受賞の理由として挙げられた。
ユニ・チャーム高原社長はグローバル進出の成功という功績があるが、「日本の消費者は世界で最も厳しく、競争環境も厳しい。だからこそ鍛えられている面もある」と述べた。「日本企業の良さは細部にわたるこだわりと、相互の信頼と人間性の尊重。SDGsとの親和性も高い。Think Global、Act Japaneseの精神で邁進していきたい」と話すなど、“ジャパンファースト”の意向を示した。
生体認証や「ドライブスルー店舗」設置など、業界初の施策を次々と実現してきた大垣共立銀行(OKB)の土屋会長は、メディアともオープンな付き合いに定評がある。「これらの施策をどのように表現し、(ステークホルダーの方々に)分かっていただくか。いかに広報というものが大事か、そして企業自身をどうあらわしていくかに取り組み続けた26年間だった」と振り返った。
広報はクイックレスポンスとオープンマインド
「企業広報功労・奨励賞」を受賞したのは、ダイキン工業のコーポレートコミュニケーション室 シニアスキルスペシャリスト芝道雄氏とサントリーホールディングスの執行役員広報部担当兼サントリー芸術財団の濱岡智氏。両名とも20年以上広報業務に携わる中での、会社全体のブランド力向上への貢献が評価された。
ダイキン工業の芝氏は20年余り前から広報に関わってきた。「当時消耗戦だった国内市場からグローバルに進出しようという方針のもと、当時のトップ自らが広報マンとなっていった。『記者の方々の要望には必ず応えよう』『クイックレスポンスとオープンマインドを忘れないようにしよう』と広報チームでは決めていた」と総括。今後も、会社の方針でもある「最高の信用」に基づく広報活動を続けていきたいと述べた。
サントリーホールディングスの濱岡氏は1980年入社。広報として、厳しい市場環境や事業拡大の現場も経験してきた。「今のサントリーを形成してきた時代に会社の進化を見てきたことは幸せだった。広報というのは単に事実を伝えるだけでなく、そのなかの真実を伝えることで消費者の信頼を獲得できると教わった。まだ完全ではないが、真摯に誠実に、一所懸命広報活動を続けたい」と語った。