8月にオープンした「宣伝会議賞」のティザーサイトでは、「つぶやき脳を、コピー脳に。」というキャッチフレーズを公開していました。このコピーを書いたのは、第56回(前年度)グランプリを受賞した谷尾裕一郎さんでした。
若手コピーライターの登竜門とも評される「宣伝会議賞」ですが、最高賞であるグランプリを受賞すると、仕事の環境は変わるのでしょうか。第56回「宣伝会議賞」でグランプリを受賞した谷尾裕一郎さんに、受賞から半年が経過した現在の率直な思いを聞きました。
—「宣伝会議賞」に応募したきっかけとは?
会社全体でクリエイティブ力向上を目指そうという取り組みの一環で「宣伝会議賞」に挑戦してみようという流れがあり、2017年から参加をしました。2017年(第55回)は12本しか応募せず、一次審査も通過しなかったのですが、会社の後輩が協賛企業賞を受賞して。悔しくて翌年は423本の作品を応募しました。それでも、一次通過したのはたったの3本だけでした。
—グランプリを受賞した感想は?
ファイナリストに残ったと連絡を受けた際にも「最高でもシルバーが獲れたらラッキー」と思っていました。贈賞式でシルバーの受賞者が発表されたとき自分の名前が呼ばれず、完全に受賞は逃したと思っていたので、本当に驚きました。
受賞スピーチも何も考えていなかったので、とっさに「ホースの代わりがないと、子どものころからずっと気になっていた」と嘘をついてしまったところ……そのコメントが「アドタイ」にも掲載されて、「しまった……」という感じでしたね(笑)。最終審査員の仲畑貴志さんが、その発言を嘘だと見抜いてくれて「そこがいいよ」と言ってくださったので救われました。
受賞コピーは正直、自分の心にはあまり残っていなかった作品なのですが、審査員の方のコメントを見て、その評価が大変勉強になりました。
—どのようにコピーを考えましたか?
会社で6人のLINEグループをつくり、取り組む課題を決めて10分で各自がコピーを考えて、みんなでその場ですぐ共有し投票するという、フラッシュアイデア型の取り組みを行っていました。また、個人でもいろいろな切り口を見つけられるように、普段から仕事の合間などに集中してコピーを考えるようにしていました。
—グランプリ受賞後、谷尾さんの周囲に変化はありましたか?
家族が自分の仕事に興味を持ってくれるようになりました。仕事の場では、グランプリを受賞したということで周囲からのコピーに対する期待が高まったようで、それだけに受賞後のほうがコピーの勉強をするようになりました。
谷尾裕一郎(たにお・ゆういちろう)氏
1983年生まれ。兵庫県尼崎市出身。メディアハウスクリエーション所属。求人広告の制作と、ブライダル広告の制作を行う。最近は毎日同じトーストの画像をInstagramに投稿している。
第57回「宣伝会議賞」の応募要項、課題一覧を掲載した月刊『宣伝会議』10月号は、現在絶賛発売中です。また第57回「宣伝会議賞」特設サイトも開設しており、11月6日まで応募を受け付けています。月刊『宣伝会議』11月号(10月1日発売)では、課題のオリエンを掲載いたします。