デジタルマーケティングの代表的な手法、検索エンジンマーケティング(SEM)。日本でまだ浸透していなかった1999年からSEOのサービス提供を開始し、国内のパイオニア企業として市場をけん引してきたアウンコンサルティングはこれまでのノウハウを生かし、今、「グローバルデジタルマーケティング」の支援事業に注力している。
SEO黎明期に創業パイオニアとして20年の実績
アジア8カ国・地域に9拠点を有し、デジタル領域におけるグローバルマーケティングのサービス提供を行うアウンコンサルティング。同社は、日本のインターネットの人口普及率が21.4%(出典:総務省「通信利用動向調査」)だった1999年に、いち早くSEOを事業化。日本におけるSEOの歴史とともに歩んできた、パイオニア企業だ。
同社の創業者で、当時Webサイト制作などを請け負っていた信太明社長は、作成したは良いものの集客に悩んでいたクライアントからの要望に対して、米国で注目を浴びていたWebサイトに人を呼び寄せるための手段であるSEOに着目。「日本語で同じことができるのではないか」と考えたことが事業化のきっかけだった。2002年には日本でリスティング広告が本格的に始まり、ヤフー系のオーバーチュア(当時)が定める「推奨認定代理店」7社の内の1社にも名を連ねている。
以来、SEOやリスティング広告事業をはじめ、SEMを中心に、デジタルマーケティング支援を続けてきたアウンコンサルティング。20年間の実績は、2000を優に超える企業やサイトにサービス提供を行ってきた、その数字に表れている。
一方で、日本の総人口やGDPなど、縮小傾向にある日本の市場環境を見越して、2008年には早くもグローバルでのサービス展開に踏み切った。当初はオフショア拠点としてタイ法人を設立したというが、経済成長に伴うデジタルマーケティング市場の拡大が著しいことから、これまで日本で培ってきたデジタルマーケティング支援サービスを現地で提供できるのではないかと思い至り、営業活動を始めた。
現在はタイ、台湾、香港、韓国、シンガポール、フィリピン、ベトナムにおいて、現地の日系企業とローカル企業のグローバルマーケティングを支援。台湾の消費者をターゲットに行ったバニラ・エアのインバウンド向け広告施策では、1年半でCV数を8倍に、CPAを4分の1にまで改善する実績を上げている。
グローバルマーケティングには異文化理解が不可欠
デジタルに限らず、グローバルマーケティングを行う上では、言語をはじめとした異文化に対する適切な対応が成否を分けるファクターとなる。アウンコンサルティングは、海外拠点におけるネイティブのリソース活用はもちろん、10年にわたり培ってきたグローバルでの知見に基づいた「多言語」のデジタルマーケティング支援を得意としている。
「グローバルデジタルマーケティングの領域においては、海外拠点のクライアントまで含めると600社超の企業にサービスを提供してきました。特に、日本国内における多言語の案件は200社以上を数え、国内では当社が最大級だと自負しています」。
こう語るのは、同社 取締役副社長の菊池明氏。SEOがデジタルマーケティングの手法として根付いてたとは決して言えなかった2005 年にアウンコンサルティングに入社して以降、タイ法人の責任者や東南アジア地域の執行担当を経験してきた菊池氏は、同社のデジタルマーケティング事業を推進してきたひとりだ。
グローバルマーケティングは、国内市場にアプローチし国外市場での集客を図る「アウトバウンド・マーケティング」、国外市場の消費者にアプローチして国内での集客を図る「インバウンド・マーケティング」、現地で完結するケースなど、いくつかのパターンがある。菊池氏は国が変わってもマーケティング活動の本質は変わらず、あくまでターゲットの文化や商習慣を理解し、それに合わせて施策を設計することが重要だと話す。
タイという異文化の中で同社のデジタルマーケティング事業を推進してきた菊池氏は、例えば「タイをはじめとしたアジアの新興国では“モノ売り”の文化が根強く、提案やコンサル型の商品より、分かりやすく商品と価格を提示する売り方が好まれる」といったように、現地の理解なくして商品を売ることはできないことを、身をもって経験してきた。
グローバルデジタルマーケティングについても同じことが言える。Webサイトやディスプレイ広告のクリエイティブを単純翻訳するだけでは意味が通じなかったり、まったく検索されない言葉になってしまう恐れがあるからだ。
「言語や価値観、民俗性など、異文化を理解することは難しいもの。どれほどテクノロジーが進んでも、グローバルマーケティングではネイティブのナレッジやスキルが必要だと思います」(菊池氏)。
フラットな立場から目的に合わせた施策を提案
多言語の対応力に加え、プランニングに関してもアウンコンサルティングは独自の強みを持つ。
一般的にデジタルマーケティング支援を提供する事業者は、自前のプロダクトを用いた施策を提案するケースが多い。一方でアウンコンサルティングは、自前のプロダクトをあえて持たないことでクライアントの目的に合わせて、公平かつフラットにグローバルデジタルマーケティング施策の提案、プランニングを行うことができる。
「これからグローバルマーケティングに取り組みたいと考えている、あるいはすでに取り組んでいるマーケターの方は、まずは今ある不満や悩みを私たちにお聞かせください。結果的に当社のサービスでなかったとしても、フラットな立場から解決に導いていく役割を担っていきたいと考えています」。
デジタルマーケティングは国境や距離的な制約に縛られずに行えるだけでなく、費用対効果が可視化しやすい側面も持っている。成果への不安からグローバルマーケティングに取り組めないでいる企業やマーケターにとっても、多言語でのデジタル施策は効果的な一手だと言えよう。
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