王女アルディスを演じきったマヤに「感覚の再現」を学ぶ
マーケターである私たちも、一消費者として普通に生活しています。お店に行き、時に迷い、時に直感的に決断し、お金を払って商品やサービスを購入して暮らしています。その生活の中で、私たちが求める「ターゲット」と同じ“感覚”を体験しているのではないでしょうか。私はなぜ、あの時あのメッセージに心を動かされたのだろう。あの商品を選んだのだろう。逆に、隣の商品を選ばなかったのだろう。その時の“感覚”を思い出し、整理し、自分の中で再現させることで、いま取り組もうとしている商品のターゲットの本当の声を、自分の中で聴くことができるようになると思っています。
この“感覚の再現”を自分のものにすることで、マヤは立派に王女アルディスを演じきり、『紅天女』への階段をまたひとつ上っていくのです。あなたも周りから愛された経験があるはず。喜びに包まれた子どものころの感覚を再現して、王女アルディスの気持ちで彼女の名台詞を唱えてみましょう。
「ラストニア わたしの国…
冬将軍の治めるこの国のすべての民にとってわたしは春の女神でありたい。」
【このシーンの背景】
ラストニアには2人の王女がいた。ひとりは陰謀により監獄での生活を強いられ、人を信じることも愛することもできない王女オリゲルド。そしてもうひとりは、蝶よ花よと育てられ、美しく天使のような心を持つ王女アルディス。この2人が陰謀や欲望渦まく政治・外交の世界の中でのドラマを描く劇中劇『ふたりの王女』。
マヤはアルディスを演じることになるが、見た目も平凡、子供の頃から苦労して暮らしてきたマヤには、優雅で美人、そして誰からも愛されるアルディスをどう演じればいいのか分からない。悩む彼女を応援する通称「紫のバラの人」はそっと手を差し伸べ、マヤをかつてオペラ版『ふたりの王女』でアルディスを演じた歌手・北白川藤子と引き合わせるのであった。
■登場人物の紹介
北島マヤ
『ガラスの仮面』の主人公。どこにでもいる平凡な少女であるが、“演じる”という点では“恐ろしい子”と形容されるほどの才能を持っている。そんな平凡な少女が往年の名女優・月影千草に才能を見出され、様々な舞台や恋愛経験を経て、ライバルである姫川亜弓と競いながら、“女優”へ成長していく。