コピーライターに質問 その4【テレビディレクター:斉藤敏豪さん】
斉藤:どうもヘイポーです。今、『ガキの使い』の楽屋でまだ誰も来てません。コピーライターさんというと僕らもすごい興味あるんですけども。皆さんすごい何か面白いフレーズとか言葉を考えるんですけど、何か素人みたいなこと言ってすみませんけど、どういう発想で、デスクで一生懸命考えるのか、遊びながら偶然のように生まれてくるのか。そういうところを聞いてみたいけど、皆さんはどうやって考えてるんですか。
佐倉:これ福里副会長、箭内副会長、谷山会長、それぞれにちょっと答えていただけるとうれしいですね。
谷山:だから、コピーは一言だけど、どうやって考えるかって聞かれたら一言で答えられないのがコピーですよねっていう感じですよね。どうやって考えるかって言われたら、説明するのに10時間ぐらいかかっちゃう。
佐倉:かかりますね。
谷山:すみません。
佐倉:ものによっても変わりますもんね。
福里:じゃあ、ちなみに箭内さんはコピーって、コピーを考えようっていうときってあったんですか、今まで。
箭内:いや、ないですね。
谷山:割と人に書かせてますよね。
箭内:ないですし、自分で書いてもそれコピーっていうレベルじゃない、正直。
谷山:でも「NO MUSIC, NO LIFE.」とか選んだわけでしょ。チョイス素晴らしいよ。
箭内:いえいえ。
福里:それってちなみに、選ぶ前にご自分では1回書いてみてるんですか?
箭内:書いてみてないです。
佐倉:次はミュージシャンから来てます。CMソングの関係性とかの話です。
コピーライターに質問 その5【いきものがかりリーダー/ソングライター:水野良樹さん】
水野:東京コピーライターズクラブの皆さん、どうも。いきものがかりの水野良樹です。質問を2つしたいと思います。1つは、僕、歌を作ることをなりわいにしてるんですが、何度もCMソングという形で広告にはお世話になりました。コピーライターの皆さん、CMプランナーの皆さんから見て、いいCMソングとはどういうものなんでしょうか。それについては、一度伺ってみたいななんてふうに思っていました。
あと、もうひとつはやっぱり僕ら音楽の世界、他の方を評価し合ったりとか、リスペクトを伝え合ったりっていうことがなかなか難しくて。アワードをつくるのも大変だったり、どうしても評価する仕組みっていうのがうまくつくれないんですけども。コピーライターの皆さんはやっぱりこういう組織があって、結構けんけんがくがくとしゃべってらっしゃって。どういうふうに評価のシステムをつくっていけばいいのか、皆さんに伺いたいな、なんていうふうに思っております。
以上、いきものがかりの水野良樹でした。また。
佐倉:これ、なかなかいろいろ示唆に富んでいる質問なんで。まずは、いいCMソング。多分、CMソングって歌詞もあるし、そこにメロディーが乗っかってきて、リズムがあってっていうことで言うと、それこそ「NO MUSIC, NO LIFE.」だったらどう考えるのかなと。
箭内:それも谷山さん的に言うと、もうそれぞれ、さまざま課題に対してだと思うんですけど、僕が好きな話は昔、資生堂でラッツ&スターが「め組のひと」っていうのをやった時に。
谷山:小野田さんじゃないですか?
箭内:そうです。15秒の中に2回、7秒の手前と14秒の手前に「め」が入るっていう発注をしたらしく。
谷山:それはすごい発注ですよ。素晴らしいですね。
箭内:それが、当時のああいうトップアーティストの方がそこに挑んでいったって。そういうのはすごくいい話だなと思います。
谷山:きょう、ぼく、箭内君から初めて役に立つ話を聞いた。
箭内:すみません(笑)
谷山:でも初めてってのはうそだけど。これ聞いたときに、われわれ的にはあんまり、CMソングっていうよりサウンドロゴ的に考えることが多いじゃないですか。サウンドロゴとCMソングってだいぶ違うから、そこら辺で、おそらく水野さんがおっしゃってるのはCMソングのほうだろうから、そこら辺分からないなと思ったけど。今、言ってた「め組のひと」は2回こことここに「め」を入れるとかっていうのはCMソングのようで、ものすごくサウンドロゴ的な考え方でされてるから。
箭内:そうでしょうね。
福里:音楽に限らず、作り手ってそのぐらい具体的なこと言ってあげたほうが、作りやすいのかもしれないですね。
谷山:素晴らしいなと思って。
佐倉:結構思いっきり縛られてるようでかなり自由っていう。
箭内:そうそう。
佐倉:「め」を2回、言やいいっていうことになってくるんで。
谷山:ちなみにいきものがかりの水野さんが割とそういう、制約とか好きな方だって聞きましたけど。
福里:そうかもしれませんね。でも、すみません、私、1個目より2個目の質問について……
谷山:答えたかったんですか?
福里:答えたいですけど。私、この話はすごく大事な話だなと思って。というのは、今の話、音楽業界には音楽を実際にやってる人たちで相互に評価する賞みたいなものがないって。
谷山:ないと。
福里:いうような話をしていて。で、広告業界にはそれがあって、前に一度お会いしたときも、その話をされてたんですけど、それをうらやましく思ってるんですね、水野さんは。
だからTCCって、ともすると、そういう「身内の褒め合いじゃないか」とか、「作り手が作り手を褒めてるっていうのは内輪だ」っていうふうに批判されがちなんですけど。それが今すでに存在してるから、そうじゃないほうが素晴らしいっていう視点がありますけど、そういうものがあること自体は音楽界の人から見るとうらやましいっていう部分もあって。きょう、まさにあれを見たわけですよ。私、朝新聞を見たら、オールスター戦って「選手間投票」っていう……
谷山:あります。
福里:ものがあるんですね。あれ、やっぱりプロ野球選手って当然プロだから、ファンに選ばれるっていうことがまず一番うれしいっていうのは当然なんですけど。それとは別の尺度で選手間で投票してオールスターに選ばれるっていうのも、それはそれでうれしいんじゃないかなっていう。まず、自分だったらうれしいだろうなっていうふうに思いましたし。しかも、TCCっていうのは選手間投票どころか、要は王、長嶋から大谷までの審査員たちが審査してるとも言えて……
谷山:まあ大谷は違うけどね。まあいいや。
福里:大谷は違う? いやいや、だから何か、ともすると「身内で褒め合うTCCは駄目だ」みたいに言うけど、広告界に色々な賞がある中に、そういう賞があること自体は、私はいいんじゃないかなっていうふうに思ったっていう、そういうことですね。
谷山:本当、副会長に指名して良かったなって。
佐倉:じゃあ次です。次は意外と重たいです。
谷山:また重たいんですか。