【前回】「阿部広太郎氏×田中泰延氏『宣伝会議賞』トークイベント前編 書きたいだけ書けるのが『宣伝会議賞』」はこちら
第57回「宣伝会議賞」の募集が始まって数日が経過した9月6日、「宣伝会議賞」トークイベントが開催された。当日は自身も「宣伝会議賞」応募・受賞経験を持ち、現在は「宣伝会議賞」中高生部門審査員を務める阿部広太郎氏と、「青年失業家」を名乗る元・電通コピーライターの田中泰延氏がトークを繰り広げた。2回目の今回は、イベントの後半の来場者と2名の質疑応答の一部を紹介(本文中・敬称略)。
質問:自分とはあまりにかけ離れた企業やサービスが課題の場合、どのようなアプローチをすればいいでしょうか?
田中:広告は代理の仕事。例えば自分が使っている製品とかサービスって全部種類を挙げても100くらいしかないけれど、日本の企業は何百万社とあって、そのどれもがクライアントになる可能性がある。自分に関係ないことしかないと思って、間違いない。聞いたこともない会社、聞いたこともない業種に取り組まないといけないのが広告の仕事です。
阿部:自分から歩み寄る、握手しに行く。飲食店だったら食べに行く、商品だったら使ってみるなどして、調べること。好きになる力。対象に対する愛情がないと書けないですよね。
田中:「きみはラーメン二郎大好きだからラーメンの仕事」っていうふうに仕事は来ないですよ。好きでない食べ物の仕事も来ます。ただ仕事でやる以上、もしくは「宣伝会議賞」だったら取り組む以上、愛するしかないですよね。実際の仕事で全く関心のない企業のオリエンに呼ばれて担当者の話を聞くと、必ず苦労話があって泣けるんですよ。つくった人の人となりがわかってくる。そうすると手伝いたくなるじゃないですか。
阿部:「一生懸命」があるところには、何かがあると思うんです。企業のこと、新卒採用のための社員のインタビューとか、それにまつわる情報は探せばどこかにあります。
田中:その企業の社長のインタビューを読むと、どういうことを目指しているかもわかる。製品の名前をTwitterで検索すると、消費者の