プレゼンテーションで重要なのは、話すことより届けること
プレゼンテーション時に自分の考えを上手に、そして余すことなく伝えなければいけないと考えると、プレッシャーを感じてしまうでしょう。競合時のプレゼンテーションに臨む場合であれば、なおさらです。気持ちが入り込みすぎて話すことに集中してしまった結果が、先述した2つのタイプだと思うのです。
しかし、プレゼンテーションの最終目標は、あくまで結果を出すこと。そのためには自分の考えを相手に“届ける”ことが必要です。届けるためにはまず聞き手がいることを意識しなければなりません。普段の会話でも相手を無視して一方的に話し続けることはしないはず。プレゼンテーションも相手がいる以上、日常会話と同じように、相手が聞き取りやすい声、スピードで、相手の目を見て、自分の言葉で話しかける。これが基本だと思います。
相手の顔を見て話そうとすると、手元の資料やPC画面から自然と視線が離れるはず。そして内容を読みあげるのではなく、自分の言葉で届けようという気持ちになると思います。届けようという気持ちになれば、おのずと提案内容のどこが一番の推しポイントなのかなど、配布資料に書かれていないことまで伝わるようになります。
自分の考えをアピールしたいという気持ちをぐっと抑え、まず聞き手を意識し会話をはじめようと思うこと。そう、つまりそれがプレゼンテーション時における、
「わたしの切り札…!」。
【このシーンの背景】
『ふたりの王女』の1人の王女役として姫川亜弓が決まっていた。しかしもう一人の王女を演じる予定の女優が突如、役を降りてしまう。そこでその枠をめぐってオーディションが開催される。当時北島マヤは芸能界から追放され、高校の文化祭やかつて自分が所属していた劇団への客演をしながら、演劇活動を行っていた。しかし“紅天女”の役を姫川亜弓と競う資格を得るためには、もう一度芸能界に返り咲く必要がある。そのきっかけを得るためマヤはオーディションに参加させてもらえるようプロデューサーに直談判する。姫川亜弓に「実力では負けないつもりです……!」。そしてマヤはオーディションへの参加が許された。
■登場人物の紹介
姫川亜弓
北島マヤの永遠のライバル。有名映画監督と大女優の間に、演劇界のサラブレッドとして生まれる。美人かつ演技の天才と評されているが、親の威光にたよって評価されることを嫌い、演技をはじめ、勉学、スポーツ、舞、ピアノなど、人知れず努力を積み、実力で評価されるようになった努力の秀才。北島マヤと初めて会った時からその天才ぶりを見抜き、時に敗北感を、時に嫉妬心を感じつつも、お互い最高のライバルと認め合い、演劇界の名作『紅天女』の主演をめぐり切磋琢磨し合い続けている。紅茶はクイーンメリーが好き。