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“あたたかみ”を感じさせるDMでロイヤルユーザーにアプローチ
日本郵便が行う「デジタル×アナログ」実証実験とは、デジタル施策とDMは対立するものではなく、組み合わせることによって効果が出る、ということを明らかにしていくことを目的に約4年前にスタートしたプロジェクトだ。早稲田大学の恩藏教授も参加し、さまざまな企業と実験を行ってきた。
セミナーの冒頭、本プロジェクトに参加をする富士フイルムの一色氏がデジタル×アナログの実証実験を行った成果について発表を行った。富士フイルムでは、立ち上げから20年になるメーカー直販ECサイト「PRINTS AND GIFT」のマーケティング活動で、実証実験を行った。
同サービスは、eコマースのビジネスモデルであるため、これまではEメールを中心にオンラインのプロモーション手段を使用する機会が多かった。
フォトライフの提案や売上拡大はもちろん、ユーザーの声を直接吸い上げて新商品開発やサービス開発へとつなぐのも狙いだ。
しかしこれまでのデジタル中心のマーケティング活動について一色氏は「eコマースではメールでのコミュニケーションが中心になります。サイトの総会員数約200万人のうち、メールを送れるのはその半分。開封率は約15%なので全会員の8%としかコミュニケーションできていないことが課題でした」と話す。
そこで、メールを拒否している会員を多角的にRFM分析等をした結果、その中にロイヤルユーザーが多く含まれていることが判明したという。
「メール拒否顧客とのコミュニケーションを考えた末に決めたのがDMでした。実証実験の内容は”Eメールとダイレクトメールを順番に送ることで態度変容が起こるか?”というもの。結果として、紙のDMを送るとクーポンの使用期限日に向かってサイト訪問率や注文率が上がっていくことがわかりました」。
仮説だが、紙のDMは閲覧率・保存性が高く、後に送るメールがクーポン使用のリマインダーになったのだろうと分析したという。
「更にアンケートによって顧客のインサイトやDM効果の理由が明確になりました。DMには”あたたかみ”と”限定感”が感じられる、と。そして、ロイヤルティが高い人ほどDMへの好感度が高いことがわかりました」。
また、ロイヤルティの高い人ほどオプトアウトが進むことがわかったため、距離感やエンゲージメントの深さでチャネルを変えていく必要性があると話した。