【前回コラム】「新政酒造を継ぐつもりは全くなかった(ゲスト:佐藤祐輔)【前編】」はこちら
今回の登場人物紹介
※本記事は7月24日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。
葬儀屋や池袋の郵便局で働いていたことも
権八:佐藤さんが、どういう風に日本酒に出会っていったのかというところをうかがいたいのですが、大学卒業後は就職したんですか?
佐藤:文学部に行ったんですが、作家になりたかったんです。「フィクション、ノンフィクションどっちでもこい!」という感じで。その時は勘違いして、物書きなんてすぐなれると思ってたんですよね。テレビ局の面接にも受かったので、行こうか迷っていたんですけど。地方配属になったので、「俺はすぐ作家になるから」と正式配属になる前に辞めちゃったんですよ。
澤本:凄い。
佐藤:でも、すぐ作家になれると思ったら大間違いで。3年ぐらいいろいろな職を転々としながらフィクションやノンフィクションを書いて、『文學界』に作品を出したりして。選考は途中まではいくんですけど、今考えるとフィクションはやはり色々と足りないところがありました。
僕はノンフィクションの方が好きでして。アメリカ文学は元々ノンフィクションの傾向が強いんですよね。マーク・トウェインやヘミングウェイは元新聞記者だし、ああいう感じでファクトが好きで。そうですね、あとは葬儀屋もやったり。
権八:葬儀屋!?
佐藤:池袋の郵便局でも働いたことがあります。夕方ぐらいから書留配達をしていました。ブコウスキーが好きで『ポストオフィス』という作品がありますけど、そこではいろいろな人生模様が見えましたね。ちょうどあの頃、テレビドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(TBS)が盛り上がっていた頃で、面白かったですね。
澤本:何か面白いエピソードはありますか?
佐藤:僕じゃないけど、池袋の金融業者に現金書留を届けにいったときの話。中から人が出てきて、「ありがとう、預かっておく」と言われたので渡したら、実はその人は客だったと。そのときは全額