日本酒は音楽に似ている? エモーショナルで生々しい(ゲスト:佐藤祐輔)【後編】

4、5年で日本酒の理想郷を秋田につくる

佐藤:秋田県の蔵元5人が集まって活動してるユニット「NEXT5」に参加していて、みんな音楽が好きなんです。メンバーには音楽事務所でプロデューサーをされていたり、ジャズプレイヤーもいます。私もDJやったり、太鼓叩いたりしてましたから、それぞれがDJやったり、楽器を演奏したりする際は、その蔵の酒を飲むパーティーを何度もやってました。

権八:それは秋田でやったんですか?

佐藤:秋田でやりました。トリノオリンピックの音楽監督を務めたリッチー・ホゥティンさんというテクノアーティストはスペインのイビサ島で2~3万人も集めるような人ですが、彼は日本酒が大好きで、活動拠点のベルリンで酒ショップを開くんです。彼の日本酒ブランドは「ENTER.SAKE」と言って、日本酒を世界に広める活動をされています。

彼がDJしながら日本酒を飲ませる活動もしていて、秋田に招聘したり、彼が東京でやる「ENTER.SAKE」のパーティに行って、お酒をふるまったりもして。あと、「Deep Dish」というグラミー賞を獲られたDJのKO KIMURAさんも日本酒大好きで、音楽関係の方で日本酒に非常にシンパシーを感じてくれる方は多いです。

澤本:日本酒は音楽に近いんですね。

佐藤:明らかに近いんですよ。他の蒸留酒、醸造酒、ビールのように高度に単純化された酒には出ないような、もっと生々しいエモーショナルなものが日本酒には出ちゃうんです。これが地酒を飲んでていて、めちゃめちゃ面白いところですよ。

権八:ありがとうございます。そろそろお時間が来てしまいましたので、最後に、今後チャレンジしていきたいことがもしあれば教えてください。

佐藤:短期的には6号酵母の生誕90周年を迎えますので、特殊なお酒を出します。長期的に見ると、自社田、無農薬栽培がどんどん増えていて、無農薬栽培をやっている地区はものすごく風光明媚で、綺麗な場所なんですよ。水が素晴らしくてね。

澤本:秋田のどこですか?

佐藤:秋田市の中で、中心部から車で30分ぐらいかかっちゃうんですけど、山間のところにある鵜養(うやしない)という地区です。そこの地区だけで採れた無農薬のお米でしかつくらない小さな蔵を4、5年以内につくりたいなと。ほぼ機械ゼロで、夏は米をつくって、冬は徹底的な手づくりで酒づくりをする。日本酒の理想郷のようなものが体現できたらなと思っています。

そのプロジェクトは何年も前から考えてるんですけど、4、5年ぐらいで形にしたいですね。それが長期的なビジョンです。できたらぜひ遊びに来てください。

澤本:本当に行っていいですか? 勘違いして行きますよ。

佐藤:宿泊施設なんかもつくって。ぜひ日本酒の理想郷に、日本、世界の方にぱっと見て分かるようなものができたらなと思います。

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