SNSにまつわる<熱量>はテンション(短期)とモチベーション(長期)の2種類
佐渡島: <熱量>にもふたつあります。僕の本の中では「テンション」と「モチベーション」の差と表現していますが、広告会社の仕事は、短期のキャンペーンで「テンション」を上げることを目的にしたものが多い。一方でストック型のインターネットでは、「テンション」が高い人に毎日発信されると、しんどくなるので、長期的な熱量である「モチベーション」の高い人が発信することが重要になります。
佐渡島庸平氏
天野: ご著書の『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 〜現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ〜』の中ではさらに、熱量だけではダメと仰っていて、コミュニティには安心感や、後から入った人も馴染める要素が大事だと指摘されているのが印象的でした。実際、熱い人しかいないと温度差で後から興味を持った人は入りづらいですよね。佐渡島さんが実際に運営されているコルクラボでも、「濃さを保ったまま増やす」ことを意識されているとか。
佐渡島: そうですね。いきなり全部を見せて熱狂させても、ひと月でテンションなんて下がるし、後からも入ってきづらいです。3年から5年かけて、ゆっくり熱量を高めていって、たまに本質が見える。さらに、その気になってストックを遡ればアイデンティティも全部見える。
その気になってもらうまでに時間をかけることで、自然と、生活の中にも溶け込んでいくことができます。ユーザー側の生活の一部になると、本人は変わったつもりはないのに、周りから見た時にテンションもモチベーションも高まっているように見える。この適度なバランスは、なかなか難しいですけれどね。
次ページ 「ユニークユーザー獲得のためにはバズ=ホームランではなく、必ず塁に出ること」へ続く
天野彬
1986年生まれ。東京都出身。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。 2012年株式会社電通入社後、マーケティング部門、新規事業開発部門を経て、2014年から電通メディアイノベーションラボにて研究/執筆/コンサルティングの業務に携わる。専門領域はスマホユーザーやウェブサービスのリサーチ。
主著にインスタグラムをはじめとするSNSのトレンドを分析した『シェアしたがる心理~SNSの情報環境を読み解く7つの視点~』(2017年、宣伝会議)。その他、『情報メディア白書2016/2017/2018』(ダイヤモンド社、共著)、『二十年先の未来はいま作られている』(2012年、日本経済新聞出版社、共著)。経済番組でのコメンテーターや宣伝会議、日本マーケティング協会、全日本広告連盟、アドテック東京などでスピーカーを多数務める。「Forbes JAPAN」オフィシャルコラムニスト。
1986年生まれ。東京都出身。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。 2012年株式会社電通入社後、マーケティング部門、新規事業開発部門を経て、2014年から電通メディアイノベーションラボにて研究/執筆/コンサルティングの業務に携わる。専門領域はスマホユーザーやウェブサービスのリサーチ。
主著にインスタグラムをはじめとするSNSのトレンドを分析した『シェアしたがる心理~SNSの情報環境を読み解く7つの視点~』(2017年、宣伝会議)。その他、『情報メディア白書2016/2017/2018』(ダイヤモンド社、共著)、『二十年先の未来はいま作られている』(2012年、日本経済新聞出版社、共著)。経済番組でのコメンテーターや宣伝会議、日本マーケティング協会、全日本広告連盟、アドテック東京などでスピーカーを多数務める。「Forbes JAPAN」オフィシャルコラムニスト。
この記事の感想を 教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。